今季は人生初のキャプテンを務める(写真=多田哲平)

 島岡監督は言う。

 「この大会を通じて、キャプテンはいろんな意味ですごく成長しました。選手たちで集まってミーティングをするなど、彼なりにトライしていた。何か自分を変えようとか、いろんなことをできるようになろうと。その姿勢は素晴らしいし、そういう意味でも逞しくなったのかなと思いますね。

 実は大人しくて、引っ込み思案なんですが、それを破ろうというところが見えて頼もしいなと。この大会でも良い経験をした。自分が何かやろうとすると切り開こうとしないとダメなんだなと、彼を見て改めて思いました」

 また、この大会で実質的に指揮を執った相澤貴志GKコーチも、その進歩を称える。

 「すごく逞しくなりましたね。最初のイメージは真面目で、求められることをきちんとやろうとする選手。でも、この2年間見てすごく伸びたなと。今年キャプテンをやって、『自分がやらなきゃ、まとめなきゃ』という意識がすごく強くなったと思う。この大会でも、僕は極力関わらないようにして映像を渡すくらいでしたが、その映像や、他の選手の意見を集めてやってくれていました」

 そんな川合に引っ張られるように、チームはひとつの方向を向いていった。

 決勝トーナメントを通じて、「団結感」が芽生えてきたと川合は言う。

 「トーナメントというなかなか味わえない雰囲気で、負けたら終わりなので、自然と自分たちで『もっとこうしてほしい』と要求するようになったかなと。ベンチメンバーも予選は暗かったんですけど、そこも話し合って、ベンチもベンチ外も全員で1試合ずつ勝とうと。恥じらいを捨てて、盛り上げてくれて良かった。チーム全体が明るくなったし、勝ちへのこだわりは全員、前よりもつきました」

 MVP受賞について「正直まさか自分だとは思っていなかった」と話した川合だが、チームが一丸となるきっかけとなり、決勝では自らのゴールで勝利に導いてみせた。その働きぶりは、MVPに相応しかった。

(文・写真=多田哲平)

▽第46回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会
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