桐蔭学園 vs 桐光学園(写真=佐藤亮太)

 キレイに勝とうなんて、毛頭思っていない両チーム。

 中盤のボールの奪い合い。カウンターの応酬。双方、押し込まれては身体を張った守備ではじきかえし、奪ってつなごうにもすぐ目の前の相手に阻まれ、なかなか前に進めなかった。

 両者、ぶつかりあうごとに骨にきしみが聞こえてきそうな苛烈な肉弾戦の様相を呈していた。

 この戦いの香りはベンチから感じられた。

 桐光・鈴木勝大監督は「戦う準備をしよう。オレの勝ちたい気持ちを君たちは上回れるか」

 「オレの勝ちたいオーラ以上のものを出していこう。勝利への執着心も。集中力も。闘争心も」と大きな叱咤で選手を刺激すれば、桐蔭・八城修監督は静かな口調で「やるべきことをやろう。それは戦うこと」と双方、バトルオーラ全開。

 試合後、八城監督は「私たちの時代、サッカーは格闘技と言われた。もしそうならば、うまさより、まずは戦う気持ちが根底にないといけない。勝たせるエネルギーを持っていければならない。選手にはチームを勝たせる選手に、優しいだけでない戦える選手になれるようにと伝えている」と語るほど、戦いが強調されていた。

 90分間、通してみれば、6:4あるいは7:3で桐光が攻勢を強めていた。

 守勢にまわる桐蔭は桐光のプレスに苦戦していた。それでも執拗な守備で耐えることができた要因を2度、ビッグセーブでチームを救ったGK1神保颯汰は「とにかく目の前の相手に負けないことを徹底した。(桐光得意のCKの際でも)自分が手を伸ばせば、届く自信はあった」と鉄壁ぶりを語った。

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