日大藤沢GK野島佑司がPK戦で見事なシュートストップ(写真=会田健司)

 競り合いの際に両足を攣ってしまい、交代を余儀なくされたMF7藤岡仙太郎が「自分はチームの立ち位置的にもプレーで仲間を引っ張って勇気付けないといけない中で、最後までピッチにいられないことが情けなくて」とその場で泣き崩れるほど、気持ちを全面に出してプレーした奈良育英が相手の攻撃を跳ね返し続け無失点で切り抜けると、終盤はチャンスも作り相手ゴールに迫った。

 それでも結局、前後半70分で決着はつかず試合はPK戦へ。すると日大藤沢GK1野島佑司が2本目と3本目で相手のコースを読み切ってシュートストップ。キッカー4人全員が成功させた日大藤沢がPK戦を4-2で制した。

 その野島は勝利に直結するビッグセーブをみせても派手に喜ぶこともせず「自分が止めるまでキッカーの人たちがずっと決めてくれるという安心感と自信があったので、自分は落ち着いてプレーに集中できました」と冷静にプレーしたとコメント。

 一方、敗れた奈良育英の梶村卓監督は「分析していた通りに選手たちが頑張ってくれたので、こちらの狙い通りのゲームになった。選手たちがピッチ内もピッチ外も全員で戦えていたのでそこは収穫」と、この大一番で見せた選手たちの気迫の籠ったプレーが収穫だったと話した。

 しかし、予選を勝ち抜いてからこの試合に至るまで機運が高まらなかったことや、サッカー以外のところも突き詰めるまでは至らなかったことなど、反省点も多いと話し、この経験を今後に生かしたいと語った。

(文・写真=会田健司)

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