試合風景

 2015年シーズン、これまで公式戦無敗を誇る関東一に土をつけたのは、今季2冠の埼玉王者、西武台であった。

 30日、平成27年度第58回関東高校サッカー大会が開幕。各地で熱戦の火ぶたが切られる中、駒沢の地では今大会屈指の好カードが実現。4年ぶりに東京を勝ち抜いた関東一と、新人戦に続く快進撃で関東大会埼玉県大会を制した西武台が対峙したAグループ1回戦は、午前10時ちょうどにキックオフ。観客席、応援席のボルテージが高まりを見せる中、運命の笛が鳴り響いた。

 共に相手の出方を探るような立ち上がり。4-4-2の布陣を敷いた関東一に対して、完成度が増す4-3-3のシステムで臨んだ西武台は5分、右サイドからFW新行内一輝が上げたクロスに、ファーサイド走り込んだFW橋本陸がシュート。攻撃のキーマン2人がいきなりのチャンスを演出すると、抜群のコンビネーションを披露するホットラインが再び開通。11分、右サイドを押しこんだFW新行内一輝が粘ってゴール前にグランダーのラストパス。これをFW橋本陸が蹴り込んで、西武台が早くも先手を奪うことに成功した。

 今季初めて先制点を許す形となった関東一。らしからぬイージーミスが目立ち自慢のポゼッションサッカーが影を潜める。球際の強さとプレスの速さを徹底する西武台の前に苦しいパス回しが続いた。

 見かねたベンチからは細かいポジショニングの修正指示が飛ぶ。本来ストロングポイントである左MF高橋快斗、右MF鈴木隼平の2人には高い位置でのポジション確保と前向きでのボール関与、さらにFW冨山大輔とFW岡崎仁太朗には、互いの距離間確認と狭さが目立ったプレーエリアの拡大。劣勢に立たされた状況下で、これまで結果を残してきた攻撃陣に期待するベンチの想いが覗えた。

 14分、CKからのファーストチャンスをシュートまで結びつけることができなかった関東一は徐々に立て直しを図ると27分、絶好機を創出。FW冨山大輔がタメを作り展開した左サイドから駆け上がったMF高橋快斗のクロスに、MF鈴木隼平が渾身のダイビングヘッド。惜しくもクロスバーに嫌われゴールには至らなかったものの観客席は大いに沸く。

 対して1点リードの西武台も、決して受け身に回らない。積極的に追加点を狙う姿勢を継続し、FW橋本陸、FW新行内一輝、FW川田航平の強力3トップを起点に関東一ゴールに襲い掛かった。

 すると前半終了が迫った35分に訪れたこの日二度目の歓喜。ボールカットからショートカウンターを仕掛けると、FW橋本陸がゴール前中央に走り込むことで生まれた左サイドの広大なスペースを活用。最後はフリーになったMF山口大輝が冷静に流し込みネットを揺らす。前線の選手の連動性が生んだゴールが貴重な追加点となり、西武台が2点のリードを得て前半を折り返した。

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