FW笠井佳祐(関東一)

 中学時代はCBだった男がエースの仕事を果たし、チームの3年ぶりの選手権に導いた。

 11月14日、高校サッカー選手権の東京都予選決勝が行われ、Aブロックでは関東一が日大豊山に3−0で勝利した。

 関東一にとって3年ぶりの選手権出場は至上命題。2015年度のインターハイにベスト4へ進出したが、選手権では過去に出場した2回はいずれも2回戦で敗れている。再び全国で躍進するために負けるわけにはいかなかった。そうしたチームの想いを背負い、決勝で殊勲者となったのが10番のFW笠井佳祐(3年)だった。

 2トップの一角で先発出場すると、序盤からフィジカルの強さを生かしたキープと洗練されたテクニックで攻撃を牽引。1−0で迎えた前半16分にはMF肥田野蓮治(2年)のシュートがDFに当たって流れたところを見逃さず、右足で豪快にゴールを撃ち抜いた。以降もキレのある動きで相手を翻弄。最終ラインの裏に抜ける動きも冴え渡り、ゴール前で相手の脅威になった。34分には左サイドを抜け出したFW宇山輝(3年)からラストパスを受けると、冷静にシュートを流し込んで2点目を奪った。

 後半も積極的にシュートを狙う姿勢は崩さない。ゴールこそ奪えなかったものの、2得点の活躍でチームの勝利に貢献した。

 本人も今予選の活躍には手応えを得ている。「1点目は決めるだけでした。今日の2点目は、(今まで)横からクロスを外す機会が多かったので入って良かったです。(今予選ではゴールを量産しているが)自分はチームが勝つためにプレーをしてきた結果で、たまたまゴールが入っただけ」と、組織の中で自らの良さを発揮できた点に頰を緩めた。

 ただ、これで満足しているわけではない。「自身の得点でチームに貢献できたから良かったけど、決められる場面はまだある。今日もありましたし、練習からこだわって修正してやっていきたい」と、全国大会までにさらなる成長を目論む。

 笠井は千葉県のVIVAIO船橋でプレーしていた中学時代までCBを務めていたが、高校に入って攻撃的なポジションにコンバートされて才能が花開いた。DFが嫌がる動きを理解しており、シュート精度を磨けばFWとしてもう一皮向けられる。成長の著しいストライカーが全国舞台での活躍を誓う。