新シーズン到来と共に高校サッカーの扉を開く全国の新高校1年生たち。中学から高校へ、ジュニアユースからユースへとステップアップを遂げた“ルーキー”に向けて、高校サッカーの1年に迫る。

■「選手権と総体」高校サッカーを象徴する2つの大イベント。
 高校サッカーと言えば選手権を思い浮かべる人が多いように、抜群の認知度を誇る全国高校サッカー選手権大会。毎年年末から正月にかけて行われる一大イベントは高校生プレーヤーにとって憧れの舞台であり、サッカーファン必見の冬の風物詩となっている。選手権でのプレーを夢見てユース昇格を蹴る選手も決して少なくなく、ユース勢に負けず劣らず好選手擁するチームが集う大舞台はプレーヤーにとって大きな目標となっているのである。

 選手権は全47都道府県で予選が行われ、多くの地域では夏から地区予選が始まる。2枠が与えられている東京を除く46道府県の全国出場権は各1枠、狭き門を巡る争いは熾烈を極める。そして予選を勝ち抜き迎える全国大会が開催されるのは東京を中心とした首都圏のスタジアム。代表格として、かつては聖地国立競技場がプレーヤーの憧れの的となっていたが、2020年東京オリンピック開催に向けた改修工事のため第92回大会を最後に選手権から姿を消した。代わって前回大会からは埼玉スタジアム2002が使用されるなど選手権も一つのターニングポイントを迎え新たな歴史を歩んでいる。

 また近年はこれまで優勝を繰り返していた名門校の地位が下がると同時に、全国各地でのサッカー普及に伴って全体的な底上げがなされた結果、初優勝校が続出。ここ10年で9校が初優勝を成し遂げており、まさに「高校サッカー戦国化」が叫ばれる状況となっている。現大会名に変更された1966年以降、最多優勝回数を誇るのは帝京(東京)と国見(長崎)の6回。個人記録に注目すると、個人通算大会得点記録トップは平山相太(国見・現FC東京)の17ゴール、個人一大会得点は2008年に大迫勇也(鹿児島城西・現ケルン)が記録した10ゴールとなっている。

 その選手権に加えて全国高校サッカー総体(インターハイ)も忘れてはならない。8月に行われる真夏の決戦は毎年開催地が異なり、昨年の山梨を経て今年は大阪での開催が予定されている。出場枠は開催地に加え北海道、埼玉、東京、千葉、神奈川、愛知、大阪の6都道府県に各2枠、その他地域は各1枠ずつ与えられるシステム。そんな全国高校サッカー総体は過去49回開催され、最多優勝回数を誇る市立船橋(千葉)は2度の連覇を含む8回の優勝と2回の準優勝を記録。次いで2位には5回の優勝を誇る国見(長崎)がランクインしている。

【次のページ】 総体(インターハイ)と高円宮杯U-18サッカーリーグ