FW西川潤(桐光学園)

 大会を振り返ると、チームとしても個人としても日本のパフォーマンスは素晴らしかった。組織力で戦って相手を凌駕。持ち前のスピードを生かし、初戦で2ゴールを奪った若月大和(桐生一)。同じく初戦で得点を挙げ、3戦目のセネガル戦で途中出場から決勝点を決めた西川潤(桐光学園)。守備陣ではGK鈴木彩艶(浦和レッズユース)、主将の半田陸(モンテディオ山形)が存在感を示した。

「グループステージではかなり勢いもありましたし、3試合で良いゲームができて、相手もリスペクトしてくれた。最後の最後にアフリカのスピードを体感しながらも勝ち切ったし、ポテンシャルが高いオランダにやれた部分もある」(森山監督)

 その一方でノックアウトステージ特有の難しさを味わった。「決して下を向く必要はないと思うけど、トーナメントで勝ちにいくところで、ちょっと勇気が足りなかったかなという感じがある。もっとやれたと思います」と森山監督が言えば、若月も「自分たちもギアを上げて、相手を蹴散らす勢いでやりたかったけど、自分たちの準備が足りずに相手の力に押されてしまったのは大きかった」とチームの出来に反省の弁を述べた。

 本来の良さを見せられずに負けてしまったのは悔いが残る。ただ、それが世界との差でもある。

「ボールに行けなかった。ゴールを奪えなかった。その部分は強烈に胸に突き刺さっていると思うし、それを強烈な成長のエネルギーに変えるしかない。この年代だから。来年にはU-19アジア選手権があるし、再来年にはU-20ワールドカップがある。世界の色んな相手と対戦し、大会前にもナイジェリアやサンパウロのU-19の選手たちとやれた。いろいろ感じた部分はあると思う。ゴールに行けなかった、抜けなかった、シュートを打っても弱かった、ボールを取れなかった、スピードで置いてかれた、クロスが上がらなかった。そういうのを感じて自分を見つめ直す。ワールドカップの舞台にまた戻ってきたいなら、2年後に活躍できる自分を作る。今のU-18代表に半分近く入っていけるようにして欲しい」

 現時点ではメキシコが上だった。ただ、彼らの物語は終わりではない。味わった悔しさをバネにさらなる成長ができるのであれば、彼らにとっては意味のあるワールドカップだったに違いない。

(取材・文=松尾祐希)