4年連続で延長戦までもつれた決勝戦。ファイナルに相応しい好ゲームを制した星稜が初の全国制覇を成し遂げた第93回全国高校サッカー選手権大会を振り返る。
■昨年の悪夢を払拭し初の栄冠。
2対2で迎える延長戦、1年前と同じ展開でピッチに立つ選手たちには苦い記憶が蘇る。それでも、リベンジを誓いこれまで必死に培ってきた星稜イレブンの“精神力”は同じく初の全国制覇を目指した前橋育英をわずかに上回った。試合を決めたのは人一倍悔しさを知るFW森山泰希。主将としてチームを鼓舞し続けたCB鈴木大誠、この日同点ゴールを決めた右SB原田亘、そしてダブルボランチを組むMF前川優太、MF平田健人と共に昨年からレギュラーを務めた点取り屋はノーゴールに終わっていた準決勝までのうっ憤を晴らすかのように大舞台で輝きを放った。同点のまま突入した延長前半5分、フィジカルの強さを見せつけ値千金の決勝ゴールを叩き込むと延長後半にも強烈なミドルシュートでネットを揺らしこの日2ゴール目。これまで直向きに勝利に貢献してきた男の一撃はチームに歓喜の瞬間をもたらした。
そんな星稜を初の日本一に導いた大きな要因はチームに浸透した強い“精神力”。序盤から積極的に攻勢をかけていただけに後半に入ってからの運動量低下が心配されたがイレブンは110分間走り切る。1点リードし迎えた後半にはギアを上げた様に活性化した前橋育英の攻撃に主導権を握られ、53分に同点ゴールを許すとその2分後には逆転ゴールを献上する苦しい展開。それでも劣勢の展開に立ち向かい、必死に前線への推進力を高めた原田が奪った殊勲の同点ゴールは選手全員の諦めない気持ちが生んだもの。悔し涙を糧に磨きをかけてきた星稜の“不屈の精神力”は1年間の集大成となった大舞台で実を結んだ。
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