■指揮官不在が呼んだチームの結束力。
 大会直前、星稜に思いがけないアクシデントが襲い掛かる。河崎護監督が交通事故によりチームを離脱。絶対的指揮官の不在はチームに強い不安感を募らせたが、131人の大所帯は結果的により一層の結束を強めることとなった。

 迎えた大会初戦、FW岩元颯オリビエらを擁する鹿児島城西との注目対決をPK戦の末勝利。厳しい初陣となったが、鈴木ら守備陣を中心に強力攻撃陣をシャットアウトした堅守は大会を通してチームの勝ち上がりを支えることとなる。続く3回戦では初戦無得点の攻撃陣の復調が見られ、MF藤島樹騎也、FW大田賢生の2ゴールで米子北を退けると、準々決勝でも2年連続8強の履正社を撃破。攻守が噛み合い3年連続の4強入り手繰り寄せたチームは試合を重ねるうちに団結力を高め、いつしか監督への強い想いを胸に戦うチームへと変貌を遂げていた。星陵はダークホースとなった日大藤沢との準決勝でも強さを証明。今大会初先発となったMF杉原啓太のゴール、好調大田の3戦連発と決勝へ向けチームに勢いがつくには十分の出来で快勝を収めた。

 

 そして迎えた決勝戦、待たれた監督の復帰は願わず。それでもピッチで戦う11人はもちろん、控えるベンチメンバー、そしてメンバーに漏れスタンドから声援を送る部員は3年間の指導に恩返しするように躍動。河崎監督のもと、共に汗を流してきた131人は創部48年目を迎えた名門の歴史を見事に塗り替えてみせた。

■悲願の初優勝を目指した前橋育英は決勝で散る。
 過去4度阻まれてきた鬼門の準決勝を突破し、辿り着いた初の決勝のピッチで散った前橋育英。初優勝を目指した決勝ではビハインドを跳ね返し、一時は逆転するも延長戦で力尽きた。それでも準決勝で起死回生の同点ゴールを奪ったMF鈴木徳真、大会を通じて攻撃の牽引役を担ったMF渡邊凌磨のU-19日本代表コンビを中心としながら個性豊かな選手たちが伝統のポゼッションサッカーを展開し過去最高となる準優勝。あと一歩届かなかった日本一という壮大な夢は次の世代へと受け継がれる。この日同点ゴールを決めたFW野口竜彦、スーパーサブとして果敢な突破を見せたMF横澤航平らチームを支えた2年生は経験という大きな財産を手に1年後のリベンジを見据えている。

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