連覇達成の東福岡、次なる目標は97年以来の高校3冠

 真夏の日本一を決める全国高校サッカーインターハイは東福岡の優勝で幕を閉じた。灼熱の兵庫で繰り広げられた今大会を総括する。

■“赤い彗星”東福岡が連覇達成
 17年ぶりの日本一に輝いた前回大会から1年、“赤い彗星”の異名をとる全国屈指の名門東福岡(福岡)は再び全国の頂点まで登り詰めた。

 決して高かったわけではない前評判。MF中島賢星、MF増山朝陽らが活躍し、全6試合で26得点を叩き出した昨チームとの比較では劣る部分が多く、加えて他チームの台頭も顕著であったことからも連覇には黄色信号が灯っていた印象。それでも、そんな見立てを東福岡イレブンは見事に覆して見せる。

 快進撃のスタートは初戦となった2回戦の四日市中央工(三重)戦。U-18日本代表MF森島司、MF小林颯を擁した難敵との一戦をMF三宅海斗、MF中村健人、FW餅山大輝、MF藤川虎太朗の4ゴールで制し、最高の船出を果たすと次戦以降、日大藤沢(神奈川)、履正社(大阪)、立正大淞南(島根)と錚々たる強豪を連破。迎えたノエビアスタジアム神戸でのファイナルでは、市立船橋(千葉)と繰り広げた激戦をPK戦の末制し優勝カップを掲げた。

 今大会奪った得点は、昨年よりも試合数が1試合少なかったとはいえ13得点。これは前回大会のちょうど半分の数字である。それでも、引いた相手を崩す組織的かつ完成度の高い中盤を基盤とした攻撃で着実にゴールを重ねた。背番号10を背負った主将MF中村健人、新星のごとく現れ、強烈なインパクトを残したMF藤川虎太朗が形成する2シャドーと、不動のアンカーを務めるMF鍬先祐弥の3人が中核となり、MF橋本和征、MF毎熊晟矢、MF三宅海斗らがサイドアタックを担う。今大会全試合途中出場ながら3ゴールを挙げ、スーパーサブとしての役割を全うしたFW餅山大輝もフィニッシャーとして高い貢献度を示した。

 そしてもちろん守備陣への称賛も忘れてはならない。世代別日本代表に名を連ねるGK脇野敦至を最後方に据え、DF福地聡太、DF小田逸稀らが並ぶ4バックはチームに安心感をもたらすプレーを継続。シーズン序盤は不安定さが露呈されたもののプレミアリーグWEST、総体予選等で図った立て直しを経て安定感が生まれた守備は、総体の舞台でも十分な輝きを披露した。

 夏の全国を最高の形で終えた東福岡が見据えるのは、昨季期待されながらも成し遂げるまでには至らなかった97年以来となる高校三冠。混戦の上位争いが続く高円宮U-18サッカープレミアリーグ、そして冬の風物詩である高校サッカー選手権大会での日本一を目指し、今後のさらなる進化に期待したい。

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