2年連続準優勝
もう一つ守備の傾向がハイプレスだ。準優勝となった流通経済大学付属柏の本田裕一郎監督は「例年になく、プレスが速いチームが勝ち上がっている。全国大会に出てきた時点ですでにその傾向があって、ポゼッションが上手いチームが少なかった」と口にする。流経柏と尚志高がその筆頭で、前線から積極的な守備を徹底。1試合通じてハイプレスを続けるのはスタミナの面で厳しいため、交代カードを上手く活用していたのも両チームの特徴だった。
堅守を破るための工夫が、ロングスローを積極的に取り入れるチームの増加であり、守備を重視するチームが増えると同時に、それを打破するための策を練るチームも増えてくる。前年度の選手権決勝で前橋育英高のFW飯島陸(現・法政大)にマンマークを用いて、現在の流れを作った本田監督はこう話す。「一皮むけて、次の方向に向かうのかなという感じがする。今の方向が2、3年続いた次に、速いプレスを掻い潜る技術やパスワークを持ったチームが出てきて、レベルが上がるんだろうと思っています。18歳までの育成で考えると、非常に良い内容の大会。ボカ蹴りが多く、技術が無くて寂しいとの意見もあるかもしれませんが、『技術を出してごらん』となっても、これだけ寄せが速いと出せない。それが日本の弱点。もっとプレスをかけて、その中で使える技術が本物。そういう技術が増えてくれば、高校生が伸びる」。新たな時代の幕開けとなる次の選手権では、どんな傾向が見られるのか。今大会を踏まえ、よりハイレベルな攻防が繰り広げられることを期待したい。
(文・取材 森田将義 写真・甲斐雅人)