平成が間もなく終わろうとしている。高校サッカードットコムでは平成の30年間を振り返る。今回は記録的猛暑となった1994年(平成6年)。
世界の平和はまだまだ遠く
この年、国内では6月27日、長野県松本市でオウム真理教によるテロ事件"松本サリン事件"が発生した。化学兵器クラスの毒物"サリン"が一般市民に対して無差別に使用された世界初の事例。8人が死亡、約600人が重軽症を負った痛ましい事件が起きた一方で7月8日には日本人女性初の宇宙飛行士・向井千秋さんがスペースシャトル「コロンビア」に乗船し、打ち上げに成功した。スポーツ界では9月20日にプロ野球のオリックスの弱冠20歳のイチロー(シアトル・マリナーズ)が日本初の1シーズン200本安打を達成し、一躍スターダムにのし上がった。また、この夏は前年の記録的な冷夏から一転、7月13日までに全国で梅雨明けとなり、直後からお盆にかけて記録的な猛暑となり、東京では39.1℃と41年ぶりの最高気温を記録した。
国際社会は中東和平が進んだ一方で、4月にはルワンダ内戦が勃発、ボスニア紛争は激化し、世界の平和はまだまだ遠いことを印象づけた1年だった。
市立船橋がFW森崎嘉之のハットで帝京を下し初優勝
高校サッカー年代は清水商が全国2冠を達成。新居浜工のFW福西崇史(元ジュビロ磐田)や韮崎のMF中田英寿、富山第一のFW柳沢敦などが出場した夏の全国総体サッカー競技が富山県で開催。同大会は清水商(静岡)が帝京(東京)を1-0で下し4年振り3回目の戴冠。高円宮杯全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会(※高円宮杯U-18サッカーリーグが後継大会)でも清水商(静岡)が3-1で読売日本SCを下し2連覇を達成した。そして、この年12月30日に開幕した1994年度第73回全国高等学校サッカー選手権(※この大会より12月30日に開会式が開催)は市立船橋(千葉)がFW森崎嘉之が戦後開催では初の決勝ハットトリックを達成する活躍をみせ5-0で帝京(東京)を撃破し初優勝を果たしている。