ガイナーレ鳥取内定のFW田口裕也

敗れた四日市中央工も、逆の立場で年間を通じて戦うリーグ戦の重要さをしてきしていた。春からはガイナーレ鳥取でプレーするFW田口裕也は「県内でもべた引きして守ってくるチームはあるけれど、やっぱり(矢板中央は)レベルが高い。相手をなかなか崩せなかった」と振り返る。そして、その要因の一つとして「うちは今季は三重県リーグでした。これはインターハイでも感じたんですけれど、県リーグのチームがプレミアリーグやプリンスリーグのチームと戦うと、日常の差がすごくあるなと実感します。僕達も(昇格するために)絶対に負けられない試合の連続ではありましたが、普通にやれば負けるはずのない相手が多い。プリンスリーグには県リーグでは味わえない、より緊迫した試合が毎週のようにあるはずです。その差は大きかったですね」と率直な思いを語っている。

伊室陽介監督も「(県リーグは)ミスをしても、相手もミスをしてくれるので大事にならない。でもレベルが上がると、相手はミスを見逃してくれない」と話す。監督として初めて挑んだ選手権である程度の手応えをつかむと同時に「この強度の中でボールロストを減らそう、コンビネーションを高めよう、相手の嫌がることをしてシュートへ持ち込もう。そうしたレベルを高めていかないと、もし来年も選手権へ出させてもらえたとしてもここまで(ベスト8)だと思います」と更なる成長の必要性も感じている。

その為にも、日常のレベルを上げる事は重要だ。田口は「だからこそ、今季はプリンスリーグになんとしても昇格したかったんです。そして昇格できた。後輩達は少しでもいい経験を積んだ状態で強豪チームと戦って欲しい。そしてベスト8を超えて欲しいです。能力の高い選手たちがいるので、本当に可能性はあると思う。がんばってほしい」とエールを送った。

(文=雨堤俊祐)

▽第98回全国高校サッカー選手権
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