矢板中央MF靏見拳士朗
選手権は集大成の場だ。そのチームが、これまでどのような練習や試合、ピッチ外の取り組みをしてきたかが問われる。
例えば相手への対策。試合間隔があまりない短期決戦ゆえに、トレーニングでは疲労回復などコンディション調整が中心となる。連戦となれば、映像を使った指示や確認くらいしかできない。そこではチームとしての引き出しの多さ、どんな経験が蓄積されているのかが重要になる。
準々決勝の四日市中央工戦に2-0で勝利した矢板中央のMF靏見拳士朗は「四中工の攻撃での斜めの動きは、マリノスの斜めの動きと似ていた。そういう相手とやったことがあるのは、この試合を戦う上でプラスでした」と試合後に話した。プリンスリーグ関東で2019年を戦ってきた矢板中央は、高体連やJクラブの強豪との戦いが日常茶飯事であり、その中で対戦相手と似た特徴を持つチームとの戦い方のノウハウを持っていたのだ。試合の中でボール保持率では四中工が上だったが「ヴェルディ戦だと8割くらい相手に持たれた。そういう上手い相手に、守備で壁を作って戦うことは成長できた」という実感があり、自陣で守備陣形を組んで失点しないことを選手権ベスト8という大舞台で発揮することで、埼玉スタジアムへの切符をつかんでみせた。
▽第98回全国高校サッカー選手権
第98回全国高校サッカー選手権