DF川人太陽(右)

自分たちのスタイルを貫きながら勝ち進んで、迎えた準々決勝。攻撃力の高い静岡学園に対して守備時は5バックで自陣を守ろうとしたが、4失点を奪われて敗北。さらに「攻撃の強さはわかっていたけれど、守備もすごくて」(阿部)というように、強烈な個を誇る松村でさえ自陣へ戻って守備に参加してから攻撃へ出ていく献身性にも、驚きを隠せなかった。

ボランチとして中盤の底を支えたDF川人太陽も、同じように完敗を認めている。「サイドが止められなかった。縦に仕掛けてくると分かっていても止められない。あのレベルの選手とはやったことがなかった」と静かに語った。
守備自慢のチームが失点を重ねる中、なんとか反撃にも出ようとした。前半の3-4-2-1の布陣から後半途中で3-4-1-2に変更し、ボランチだった川人を2トップの一角に配置して前で起点を作ろうとする。さらに終盤は4-4-2としてゴールを目指したが、敵陣を打ち破ることはできない。シュート総数は2本、後半は0本だった。

攻撃力が足りなかったことについて川人は「(日々の練習で)もっと攻撃をやりたかったという気持ちがないわけじゃない。ただ、この守備力で勝ってこれたんですから」と話している。そして力を注いできた守備についても「勝ち進んでいくうちに、止められない相手が増えていった。全国には早くて上手い選手や、早くて強い選手がいる。松村くんもドリブルが鋭くて、強さもある…すごいですね」とJ1鹿島内定のアタッカーに脱帽するしかなかった。

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▽第98回全国高校サッカー選手権
第98回全国高校サッカー選手権