自身のノートに書き留めてあった一文。
初心のこころとは全てを素直に受け入れるオープンマインドのこころ。
「情けない」「恥ずかしい」「劣っている」「悔しい」「惨め」とコンプレックスが少なからず芽生えたこころ。
初めてスキー板を履いた時。
初めて飛行機の搭乗手続きをした時。
初めて海外へ一人で行った時。
経験のないことは未知の世界。
だからこそ不安だらけ、だけどワクワクしてくる。
スキーの止まり方、搭乗手続きの仕方。 インストラクターや係員から教えていただく事に対して素直な気持ちで全てを受け入れていたと思います。
初めてサッカーを教わったとき。
初めてユニフォームを着たとき。
初めて試合に出たとき。
緊張感と共に単純に嬉しかったと思います。
人生は初心の連続です。 初心者のマインド(こころ、精神、意識)は、社会の中で、人生の中でとても大切です。
優勝や強豪チームのメンバーやスタッフにいると、自分の能力を過大評価してしまい取り返しのつかない勘違いのワナに陥ってしまう可能性も増えるかと思います。 裸の王様と一緒です。
初心の心を持っていれば、そのワナにハマルことはないと思います。 選手であれば、昔の少年団の監督さんやお母さんからのアドバイスも素直に耳を傾ける事ができるでしょう。
スタッフさんであれば、年下であろうが、ご年配だろうが、ジュニアユースやジュニアの弱小チームの監督さんからのアドバイスにも謙虚に素直に耳を傾ける事ができるでしょう。
初心者と言われてもバカにされたと思う必要はありません。
新しい事に挑戦している自分がいるということです。 熟練者も初心者から、初めの一歩が踏み出されます。
初心者は上手く出来ない、ある種の劣等感(悔しさ)を感じるのも普通です。
「なんで俺はこんなに下手なんだ」 「恥ずかしい」、「格好悪い」、「俺って頭悪すぎだよ」。
真剣に向き合っているからこそ湧き出てくる素直な気持ちがそこにはあるのです。
この時の打ちのめされた気持ちはとても大切です。 ここで何も感じない人は成長しないです。
真剣に向き合っていない証拠です。 言い方代えれば、興味が全くないということです。
そんな人はもうやらない方がよいでしょう。 さっさと諦めて他の事をやりましょう。
上手くなりたい、あの人のように私もなりたい。 あの舞台に立ちたい。
そんな感情が芽生えた初心者はモノになります。
悔しくて、悔しくて、自然に涙が沢山溢れ出ているあなたは最高です。
是非続けてください。諦めず努力し続けてください。 最上級の初心の心を持ったあなたは間違いなく成功するでしょう。
どんなにステージが上がっても初心者であることを自覚してください。
そのステージに達すれば、そのステージの初心者となるのです。
そしてまた次のステージに登っていくのです。
初心の連続が続いていく人生は素晴らしいです。
高校生のみなさん!
いつまでも初心のマインドを持って、 サッカーに、勉強に、 そして人生という名のステージを登り続けてください。

鈍刀(どんとう)をいくら磨いても
無駄なことだというが
何もそんなことばに
耳を借す必要はない
せっせと磨くのだ
刀は光らないかもしれないが
磨く本人が変わってくる
つまり刀がすまぬすまぬと言いながら
磨く本人を
光るものにしてくれるのだ。

坂村真民「一日一言」より

(文・写真=田畑雅宏)