MFガブリエル・エンリケ(京都共栄/2年)
 ブラジルの名門・サントスで10番を背負った実力は本物だ。サッカー王国で磨いた高いテクニックを活かしたパスが持ち味のボランチで、隙あれば積極的にシュートを狙う姿勢は「日本人とは感覚が違う」(内藤翔平監督)。昨年一般生として入学した京都共栄では、早くからチームを牽引する活躍を見せている。

 昨年は、我を感じる強引なプレーも少なくなかったが、「皆で勝利を目指して頑張る姿勢はブラジルにはなかった」と日本独特の高校サッカー文化に触れるうちにスタイルも変化。「今年は守備も頑張っている。僕の友だち(チームメイト)が前に行けば、アシストできるよう後ろに残ろうって。まだ上手くないけど、いつも頑張っている」とチームメイトのために献身的に守備をこなす場面が目立つようになってきた。憧れであるフランス代表のMFポグバ(マンチェスター・U)のように攻守で存在感を発揮できる選手になるため、来日後はこまめにプレー動画もチェックしているという。

指揮官が評価するのはそうしたプレー面だけではない。「大会の優秀選手に選ばれると調子に乗る選手が少なくないけど、ガブは違う。『優秀選手は周りの見本にならなければいけない』とピッチ外でも真面目に頑張れるタイプ」。助っ人選手としてではなく、1人の高校サッカー選手として応援したくなるパーソナリティーの持ち主だ。

2月の新人戦では決勝まで進みながらも、京都橘に完敗。「京都共栄学園が京都で一番になれるよう頑張っている」ガブリエルにとっては悔しい結果となったが、リーグ戦、選手権では目標を叶えるため、大暴れする姿が見られるはずだ。

(文・写真=森田将義)