【12】MF徳永涼(前橋育英/3年)

 松田直樹に始まり、近年では鈴木徳真(C大阪)、田部井涼(横浜FC)、秋山裕紀(新潟)、櫻井辰徳(徳島)と、いずれものちのJリーガーが背負ってきた“前橋育英の14番”。この伝統の番号を2年次から託されてきたのが、今季のキャプテンを務める徳永涼だ。小学校4年生から、育成に定評のある柏レイソルのアカデミーでプレー。クラブからはU-18への昇格を打診されながら、人間性の成長と泥臭さを身につけるため、前橋育英への進学を決意した。

 その強烈なリーダーシップが際立ったのは、矢板中央(栃木)に苦しめられた総体準々決勝。1点をリードされたハーフタイムのベンチから「この試合はオレたちの人生を変える試合なんだぞ!」というゲキが聞こえてくる。声の主は14番のキャプテン。「去年の選手権ではベスト8で負けて、今年は絶対にそこを超えたい想いがあったし、いまこの瞬間が終わってしまうと、その時間はまた次に戻ってくるわけではないので」。後半に2点を奪い、力強く逆転勝利を収めたチームは、そのまま日本一へと駆け上がる。

 5年前。初めて選手権で全国制覇を達成した代のキャプテンと同じ“涼”という名前は吉兆か。夏冬連覇を期す上州のタイガー軍団は、徳永涼がたくましくけん引する。

(文=土屋雅史)

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