桐光学園のMF小西碧波は抜群のボール奪取力を誇る(写真=会田健司)
桐光学園はMF7小西碧波(3年)とMF8羽田野紘矢(3年)の2ボランチがピッチを所狭しと動き回り、相手の自由を奪っていく。また右のDF2杉野太一(3年)と左のDF19加藤竣(3年)という両SBは豊富なスタミナでサイドを制圧する。準々決勝の尚志戦では終盤まで連動したプレスを止めずほとんど隙を見せなかった。鈴木勝大監督は「強度・切り替え・運動量がうちの生命線」だと強調する。
一方で明秀日立もDF5山本凌(3年)とDF3飯田朝陽(3年)のCBコンビを中心とした守備ブロックが強固。SBのDF8長谷川幸蔵(3年)とDF14阿部巧実(2年)も1対1に強い。青森山田に張り合って打ち倒したことでさらに自信を深め、高知戦や日大藤沢戦でも安定感ある試合運びを見せて粘り強く勝利。躍進が偶然ではないことを証明した。今大会は2回戦から出場の桐光学園よりも1試合多い状況ではあるが、萬場努監督は準決勝の前から「ここからは戦術や技術ではなく精神力がものを言う」と話し、選手のメンタルコントロールに努めている。
そんなタフなせめぎ合いが予想される試合で、いかにして相手の守備組織を打ち崩すか。最終的に勝敗のカギを握りそうなのが、攻撃のバリエーションだ。単調な攻撃ではどちらも崩れないだろうから、70分間のなかで変化が求められる。
桐光学園の攻撃はスピーディかつテクニカル。準決勝の終盤で負傷交代してしまったMF11齋藤俊輔(3年)のコンディションが懸念ではあるが、U-17高校選抜候補で技術力の高いMF10松田悠世(3年)、帝京大可児戦でハットトリックを決めたFW9宮下拓弥(3年)、機動力とポジショニングに優れるFW14丸茂晴翔(2年)がハイテンポの連係で崩しにかかる。このアタッカー陣の閃きがひとつのポイントとなりそうだ。
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▽令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
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