昌平女子サッカー部 芳賀大祐監督
技術を重んじながら、選手個人の判断力でサッカーを展開し、現在高校サッカー界で、急成長している昌平高校男子サッカー部(埼玉県)と同じスタイルで、女子サッカー界に一石を投じ、革命を起こそうとしているのが昌平高校女子サッカー部だ。
チームを率いるのは芳賀大祐監督。2019年に監督に就任し、個の育成を最重視しながら、日本一を本気で目指している。そんな昌平高校女子サッカー部の芳賀監督や選手たちを取材させてもらった。
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「元々はFCみやぎバルセロナというジュニアユースチームにいて、中学生の指導をしていました」という芳賀監督。指導者人生をスタートさせたというFCみやぎバルセロナは、元日本代表の香川真司を輩出した、個の育成に定評のあるチーム。そこで指導している時に現在の昌平高校男子サッカー部監督の藤島崇之と出会う。
「藤島監督が青森山田中学の監督をやっているときに、同じ東北という事で大会などで一緒になったり、試合をしたりと交流があったんです。そんな中、僕自身は指導に悩み一度サッカーから離れて一般企業に就職したんです。その勤務地が埼玉の川越で。それと同じくらいのタイミングで藤島監督が青森山田中学から昌平高校に移ったんです。同じ埼玉にいるという事で久しぶりに藤島監督と再会をしました。その中で昌平高校がサッカーを強化するという話をしてくれました。当時はサッカーに戻ることを本当に悩みましたが、考えれば考えるほどサッカーが恋しくなり、外部コーチとして昌平高校サッカー部にお世話になることにしました」。
しかし当時の男子サッカー部は、土のグラウンド(現在は人工芝)で、選手集めも苦労し、試合をしてもほとんど勝てなかったという。そんな苦労を重ねながら、男子サッカー部の強化を進めていったが、2011年の東日本大震災を経験し、芳賀監督にある想いが強くなる。
「あの大震災で、以前お世話になった宮城に対して恩返しをしたいという気持ちが強くなりました。ただ昌平高校でも途中から教員として採用していただいていて…。タイミング的なこともあり、いろいろと迷いましたが、2013年に再び宮城に戻り教師として勤務することにしたんです」。一度昌平高校を離れて、宮城に戻った芳賀監督はそこで女子サッカーに出会う。
昌平女子サッカー部 芳賀大祐監督
就職した宮城の高校で女子チーム立ち上げの話が持ち上がり女子高校生の指導を始めた。「男子とは違う部分もありましたが、本当にやりがいを感じました」と語るように、芳賀監督は女子特有の悩みに直面しながらも、自身の育成の信念である「個の育成」を重視し、女子サッカーの指導や発展などに邁進。宮城県内で5年間指導をする。
その後、宮城の高校を離れることになり、「様々な想いを抱えていた中、以前お世話になった藤島監督とお話をさせて頂く機会を作ってもらった」芳賀監督は藤島監督や学校に自分の考え、目指す場所、「自分自身の経験を活かせるなら」ということを伝えると学校側や藤島監督に理解してもらい、7年ぶりに「女子サッカー部監督」という立場で昌平高校に戻る。
「赴任当初は同好会のような雰囲気で、部に在籍していた選手もたち昌平に女子サッカー部があるという事を入学してから知った選手がほとんど。高校からサッカーを始めた選手も多くいました」という。それは昌平男子サッカー部でコーチをしていた時と似た雰囲気だったかもしれない。そんな女子サッカー部を芳賀監督は心から「強化していきたい」と感じ、部員に自らの方針を打ち出す。
ーー#2は「目標は男子サッカー部、女子サッカー部ともに日本一」