アイリス住吉FC出身のMF小林嘉人(興國)
2021年度も4人の高卒Jリーガーを輩出した内野智章監督率いる興國高校サッカー部。興國では毎年、プロ入りを決めた選手が自分の背番号を後輩に引き継ぐのが伝統だ。昨年は横浜F・マリノスに進んだ樺山諒乃介が1年生のMF宮原勇太に背番号10を引き継ぐなど、背番号と共に意思も受け継ぐことになる。
その興國も1月に新チームがスタートし、今年もプロ内定者の背番号継承式が行われ、DF坂本稀吏也(モンティディオ山形)の3番、FW荒川永遠(モンティディオ山形)の7番、MF向井颯(福島ユナイテッド)の8番、MF永長鷹虎(川崎フロンターレ)11番が後輩へと引き継がれた。
そして今回、荒川から7番を引き継いだのが1年生のMF小林嘉人(こばやし よしと)だ。小林はアイリス住吉FC出身で、昨年の関西 U-16~Groeienでは得点王に輝いた期待のMF。内野監督は小林について「ゴールへの嗅覚とシュートセンスがとにかく高いので、ケビン・デ・ブライネ(マンチェスターC)のような選手になって欲しい」と新チームでは点取り屋としての期待がかかる。
キャプテンのMF宇田光史朗は「一個下なんですけど、先輩に発言出来る。普段はふざけているけど練習はいつも本気でやっていて、チームで一番点を取れるので年下だけど頼れる存在」とチームの得点源として期待すれば、DF常藤奏も「誰よりもシュートが上手い」と小林のシュートセンスの高さについて話す。そんなMF小林に背番号を受け継いだ感想や、今年にかける意気込みなどの話を聞いた。
ーーポジションを教えてもらえますか？
今はMFで右のインテリオール(インサイドハーフ)をやっています。ずっとFWだったんですが、新チームが始まってから監督が一個ポジションを下げました。
ーー中学時代のチームについて教えてもらえますか？
アイリス住吉FCでは、3年間で人間性が凄く変わりました。挨拶を凄く大事にしているチームだったので、プレーももちろん伸びたんですが、人間性の面で一番成長出来ました。
ーー興國を選んだ理由は？
自分は足元の技術があまりなくて、やっぱり興國は足元の技術がつくと聞いていたので。あとは内野監督のサッカーをやってみたいと思って興國に決めました。
ーーFWからMFになったきっかけは？
僕はそこまで足が速くなくて、監督が「FWで使うなら(50m)6.2秒切らないと」と言っていたので、それで多分MFになったんだと思います。
ーー新チームではトップチームでの活動になりますが、そこへの気持ちはどうですか？
もう覚悟はできているので、あとは先輩と自分の為にどれだけチームに貢献できるかだと思います。
練習でMF宮原勇太(右)と1対1を勝負するMF小林嘉人(左)
ーー興國に入って1年間でどういうところが伸びましたか？
チームの事をやるようになりました。中学の時は周りに指示するタイプだったんですけど、ルーキーリーグでは10番をつけさせてもらって、それで「もっとやらなあかんな」という気持ちが強くなって、チームを盛り上げる声を掛けるようになりました。
ーー荒川永遠くんから7番を引き継いだ経緯を教えてもらえますか？
自分で言うのもあれなんですが、僕は点が取れるので、ルーキーリーグでも得点王をとって、得点を取るところで永遠くんに評価してもらって。普段からも永遠くんとコミュニケーションをとってもらえて、仲良くしてもらっていたので7番をもらえたのかなと思います。
ーー荒川くんとは2学年離れていますが、仲良くなったきっかけは？
僕は中学3年からチームに参加させてもらっていて、ちょうど永遠くんたちが新チームの時だったので、その時に結構話しかけてくれて、僕も永遠くんが大好きなので、僕からも話しかけられるようになって、この1年でいっぱい話すようになりました。
ーー荒川くんのプレーで参考にしているところはありますか？
やっぱり守備力ですね。永遠くんは体力がめっちゃあって後半になっても走れるし、あの守備力は世界で通用するんじゃないかと思っています。
ーー小林くんの体力はどうですか？
なくはないと思うんですが、永遠くんに比べたら全然です(笑)。永遠くんは人間性もめちゃくちゃ良くて、可愛がってもらっていたので、僕も年下の選手とコミュニケーションをとっていこうと思っています。
ーー身近な存在がJリーガーになるのをみていてどう感じましたか？
最初に永遠くんと一緒になった時は永遠くんが怪我をしていたのもあって、僕と一緒のA2チームでやっていたので、「まだ(A1の)スタメンの選手ではないのかな」と思っていたんですけど、僕がルーキーリーグに行ってトップチームに帰ってきたら、全然違う選手になっていました。興國はプロが毎年出ているので、永遠くんなら絶対なれると思っていたし、永遠くんは自主練も凄くやっていたので、あれぐらい努力すれば僕にもチャンスがあるのかなと思います。
ーー7番にどういう風に自分の色をつけていきたいですか？
僕は点を取れるので、いっぱい点を取って、僕がプロになって得点をいっぱい取れる選手に7番を引き継ぎたいと思っています。
ーー今年の目標を教えてもらえますか？
自分がチームの中心になって、今度2年生になるんですけど僕がチームを引っ張って、先輩のためにも僕が何か結果を残して、インターハイや選手権でも絶対に先輩を全国に連れて行きたいです。
(文・写真＝会田健司)
