結果を出さないともちろん試合には出れない。それどころかクビ宣告を受ければ次の日から行き場がなくなる。そんな不安と隣り合わせの日々が続き、自分のパフォーマンスに影響。試合に出れない日々が続く。また、交通事故にも遭い、長期のリハビリ生活を送ることになった。
このまま俺はどうなる。
「不安しかなかったですね、大変なことが続いて、言葉も分からず、僕が住んでる所は田舎町なので何もないし日本語で話す相手もいない。病みましたね(笑)ただ、諦めることだけは絶対にしたくなかったです。絶対に成り上がる。その気持ちだけでやってました。やるしかなかったです」
2シーズン目に入り、力も着実につき、事故の傷も癒え、徐々に試合に出られる回数が増える。シーズン中盤にはチームのキープレーヤーとして紹介されるまでに成長。3シーズン目はチームの大黒柱としてほぼ全試合に出場し、大車輪の活躍をみせる。
そして、この活躍がセルビア1部リーグのFKスパルタクとの契約に繋がった。
「お世話になっている代理人さんからオファーがきていると連絡を頂いて、自分もそろそろもう一つ上の世界で闘いたいと思っていたタイミングでもあったので、その話しを頂きました」
彼に今の心境を聞いてみた。
「僕がサッカーを始めて、小、中、高、そして海外。どの時期もとても大切だったと思っています。特に海外ではスペインでサッカーインテリジェンスを学び、モンテネグロではプロフェッショナルのメンタリティを学べたと思っています。全ての経験が今に繋がってると思うと、どれだけ毎日の積み重ねが大事かということが身に染みて分かります。
でもまだまだ僕は上を目指しますし、近い将来、必ず日の丸を付けることができる選手になろうと思っています」。そう語る彼の鋭い眼差しは、これからの活躍を十分に想像させるものであった。
東欧の地で闘うサムライ。山本奨。是非この名前を覚えておいて頂きたい。
山本奨 Yamamoto Sho
1996年11月12日(22歳)
武南高等学校
2015-16スペイン5部CDラティーナ
2016-17モンテネグロ1部FKルダル・プリェヴリャ
2017-19OFKペトロヴァツ
2019-セルビア1部リーグFKスパルタク・スボティツァ