――なるほど。朝鮮学校ならではの事情や指導法もあるのですね。海外での経験で今の指導に活かされている部分はありますか?

そうですね。インドでの1年目は強烈でしたからね。その後、海外で動じることもなくなりましたし、自分のプレーに置いても色々考えさせれた時期でもあります。例えば、自分は助っ人外国人のDFという事になりますが、対戦相手のFWも助っ人外国人で190㎝以上あるような選手が沢山います。ディエゴ・フォルラン選手と対峙したり、コーネル・グレン選手(元トリニダード・トバゴ代表)を身近で見てきて、その中でどうやったら対人相手に負けないか、勝てなくても引き分けられるかを考えるようになりました。自分が相手のFWと五分五分の場合は、味方にそれをプレー中に伝えておく、カバーを頼んでおくなど、コミュニケーションの部分でも気を使いました。守備の場合はDFライン全体で相手と引き分ければ負けないんです。選手達にもよく”相手と引き分ける方法を考えてみたら”というと、意外と頭を使ってプレーするようになりました。自分が対人選手に勝てない場合でも、周りの選手と連携することで、引き分けに持ち込めたりします。絶対に勝てとか絶対に負けるな、というとプレッシャーになってしまったり、気負ってしまったり、冷静なプレーが出来なくなってしまいますからね。選手たちには、相手を見てしっかり考えて判断するように、普段から指導しています。

――ありがとうございます。最後に今後の目標を教えてください。

まずは、今後新人戦では京都ベスト8の壁を突破すること、3年生は、これからも自分に甘んじることなくベクトルを自分に向けて、頑張ってほしいです。何事においてもそうですが、失敗(試合においては敗戦)した理由を他の人に見つけるのではなく、自分自身に何が足らなかったのか、同じミスを今後しないように考えていってほしいです。多くの選手が、そのまま上に上がって高校に行きますが、今後サッカーを続けていくうえでも、社会に出ていくうえでも大事なことだと思います。勿論、自分もまだまだ試行錯誤しながら、選手たちと一緒に成長していきたいです。

【孫民哲(ソン・ミンチョル)】
▽プロ経歴
2009年-2010年 FC琉球
2010年-2012年 FC KOREA
2012年-2015年 シロン・ラジョンFC
2015年 - 2016年 ムンバイ
2017年 ソンクラー・ユナイテッド
2017年

(取材・写真=石津大輝)

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