ちなみに、モダンフットボールにおける偽の9番は、ジョゼップ・グアルディオラ監督がバルセロナ時代にリオネル・メッシをゼロトップ起用したことが走りだと言われがちだが、実はスパレッティとトッティこそが真の元祖だ。

 これだけのタレントであり、ローマは日常的にセリエAやチャンピオンズリーグの優勝は争うレベルのチームではなかったため、いわゆるメガクラブからのオファーは後を絶たなかった。ミランのアドリアーノ・ガッリアーニ元副会長は「何度も彼を誘った」、レアル・マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長は「ローマの首脳陣に値段を聞いたし、本人を直接電話で説得もした」、そしてマンチェスター・Uのアレックス・ファーガソン元監督は「私は彼の大ファンだった」と懐古している。仮にこれらのクラブに移籍していれば、トッティは間違いなく年俸が上がっていたし、バロンドールやビッグイヤー(CL優勝)を勝ち取っていた可能性も十分にあったはずだ。

 しかし、トッティはその全てを断り、ローマに忠誠を誓い続けた。金やタイトルよりも、誇りや愛を優先して。

 「キャリアの中ではたくさんの可能性があった。仮にもしマドリー移籍を決断していれば、ビッグイヤーを3回、バロンドールを2回は獲得できただろう。でも、俺はローマに残ることを選んだのさ。マドリーの選手たちには『お前はクレイジーだ』、ペレス会長には、『君はマドリーの誘いを断った唯一の選手だよ』って言われたけどね。サポーターや友人、家族に対する心の選択だった。自分の選択には満足している」

 そして、引退後にも「俺はローマ人として生まれ、ローマ人として死ぬ。この街を離れる気はないね」と強調する。永遠の都に生まれた、永遠のローマ人でありロマニスタ——。それがトッティという男の生き様なのだ。

(文=増田溱斗)

フランチェスコ・トッティ氏のシークレットファンミーティングが開催!

【開催概要】
イベント名:【ゴールデンコンセプト主催】フランチェスコ・トッティ シークレット ファンミーティング
出演者 フランチェスコ・トッティ、岩本輝雄
日程:2023年10月22日(日) 開場日時 14:00  開演日時 15:00
会場: 山手線沿線徒歩5分以内(東京都)
販売元:AEGIS TEXT

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会場でのオフライン参加チケットURL:https://t.livepocket.jp/e/f_totti