東海大福岡DF上本銀太(写真井=森田将義)

 レノファ山口FCは23日、東海大福岡に所属するDF上本銀太(3年)が、来季から加入が内定したと発表した。

 世代別代表に選ばれた経験はないが、タイミングよく飛ぶ競り合いの強さは抜群で、「ヘディングでは誰にも負ける気がしない」。1対1にも強く粘り強くボールを奪い取れる。加えて、左右両足から繰り出すロングフィードで攻撃の起点としても機能、西日本屈指のCBだ。

 上本は岡山のハジャスFC出身。数多くのJリーガーを輩出した平清孝総監督が「プロになれる素材」と高く評価し、1年目から試合経験を積んできた。東海大福岡に入学するまではボランチだったが、高い身体能力を買われ、CBにコンバート。「最初はビルドアップやラインコントロールが一切分からなかったけど、先生方や先輩がたに教えてもらい、徐々に出来るようになった」。学年が上がるにつれて、高さと強さが増して行った。元々、中学時代から「練習でも右足だけでなく、左足でのキックも意識してきた」ため、左右両足で長いボールが蹴れていたが、その精度が高まっていったのも、高校に入ってからの成長だ。本人は、「高校に入り身体が大きくなった。平先生から言って貰う『応援される人間になりなさい』との言葉を意識するうちに、人間的にも成長出来たと思う」と口にする。

 昨年からの新型コロナウイルスの感染拡大により、スカウトの目に留まる機会が少なかったが、夏休みに行われたフェスティバルなどによって、その存在が知れるようになって行った。それでも、8月以降は緊急事態宣言が発令されたため、チームとしての活動がストップし、思うように練習参加も出来なかった。活動再開後は、複数のJクラブの練習参加を経験。中でも一番チームからの評価が高かった山口には、2度の練習参加を経験した。その際のプレーが高く評価された事に加え、選手権予選では、視察に訪れたスカウトが、「別格」と評する程の働きを見せた。今月14日に行われたギラヴァンツ北九州との練習でもプロ選手と渡り合い、来季からの加入が決まったという。

 「最後、身体を投げ出してゴールに入りそうな所を止め、『コイツがいないとチームが成り立たない』と思われるようなCBになりたい」と口にする上本が、憧れの選手として挙げるのはDF槙野智章(浦和レッズ)。プロの舞台でも、憧れの選手のように気持ちのこもったプレーで、チームのピンチを救い続けるのが、目標だ。平総監督が、「スピードに慣れて、チームのやり方を理解してくれれば、プロでも十分やれる。より上を目指して、努力し続けて欲しい」と太鼓判を押す通り、実力は確か。これから、どんな選手へと成長していくのか、目が離せない。

(文・写真=森田将義)