神戸弘陵・谷純一監督(取材・写真=会田健司)

 12月4日、大阪市中央区の読売テレビ本社で第99回全国高校サッカー選手権大会に出場する近畿2府4県の代表校の共同記者会見が行われた。2年連続11回目の出場となる兵庫県代表神戸弘陵からは谷純一監督が出席。

――選手権予選と今年のチームについて。

 「昨年度は4年ぶりに選手権に出ることができたが、4年も空いてしまうとスタッフも選手も色々感覚がズレていたところがあった。今年は2年連続での出場で、しかも昨年度を経験している選手が半数以上いますので、予選の決勝で勝たせて貰ってからも、選手も私も落ち着いて準備ができているかなと思います。今年の予選でいうと、初戦が大差だったということもあるのですが、32得点1失点と、チームを見てきた中でも攻守のバランスがとれたチームだと思っています。守備では、昨年度は右SBで出ていたDF橋本翔和をCBにコンバートしました。3年生の自覚が出て来て、コーチングで、最終ラインでリーダーシップをとれるようになり、頼もしい存在になりました。中盤でいうと、MF松井治輝がJ3のFC今治に内定し、この選手も昨年の全国大会に途中から出場している選手です。ボール扱いが上手かったのですが、戦うとかゲームで力を発揮する部分がまだひ弱なとこがありました。彼も三年になって、スカウトが見に来ているということで、弱点だった守備意識がかなり改善され、今までは攻撃だけなところがあったのですが、攻守において力を発揮できる選手になってきました。前線の選手でいうと10番のFW徳弘匠。彼はスピードが抜きんでていて、大学生が相手でも突破できるものを持っています。予選の滝川二戦でも2点、大事な試合でしっかりゴールを決めてくれています。全国大会でも活躍したいと思っているみたいなので、しっかり集中してトレーニングしてくれています。僕自身が全国で活躍してもらいたいなと思っているのがFW田中祉同です。昨年の全国大会では1年生でチームの攻撃を牽引してくれたのですが、実は今年の予選で、チームは5試合で32得点した中、彼は0得点でした。それで彼もかなり自分に変なプレッシャーをかけてしまい、なかなかパフォーマンスが上がらなかった。昨年は坊主で試合に出とったんですが、2年生になって髪を伸ばし始めたから点が入らないんじゃないかと本人が思い、最近また短髪にして、面白いんですけど、そうしたらもう一度点が獲れるようになってきました。彼と徳弘が活躍してくれたら、得点のチャンスが多く作れるのではと思っています。昨年は、ベスト16で帝京長岡さんに0-5で大敗していますんで、今年の組み合わせでいえば、ベスト16で平野先生のところ(履正社)と対戦できるので、なんとか頑張って近畿勢同士熱いゲームがしたいと思っています。そのためにもまず初戦に勝って、勢いをつけたいと思っています」。

昨年度の選手権出場時のMF田中魁人(左)

――選手権初戦の対戦相手について。

 「初戦は岩手県の遠野高校。全国大会出場が29回ということで、我々よりも倍以上の経験を積まれているところなので、しっかり準備して入りたいと思っています。どのチームも予選の決勝を見てデータを集めたりすると思うのですが、やっぱり初戦というのはピッチで肌を合わせてみないとわからないところがあります。選手たちには落ち着いてプレーさせる。そして攻守の切り替えを速くすることがどのレベルでも必須になってきます。その軸のところをしっかりと選手たちに頭を整理させてピッチに送り出したい。初戦に勝って、勢いに乗っていけたらと思っています」。

――注目選手、また隠れキーマンについて。

 「隠れキーマンとして挙げるのであれば、MF田中魁人です。この学年が1年生の時に全国総体に出させてもらったのですが、その時にもレギュラーで出ていました。その後もレギュラーでずっと出ていたのですが、同じ中盤の松井治輝がJの内定が決まり、気持ちが落ちて自信を無くしてしまったところがありました。予選では玄人好みのプレーはどんどん出してくれたのですが、彼が全国で昨年のように中盤でボール奪取をたくさんしてくれたらなと思っています」。

神戸弘陵学園高等学校
サッカー部115名(1年生40人、2年生38人、3年生37人)
2年連続で女子サッカー部と男子サッカー部が全国大会に出場し、共に上位を目指す。イメージ豊かな攻撃と規律ある守備の一体化したフットボールを表現し、リズム溢れるプレー、和衷共同(心を同じくして力を合わせること)の精神で部員が一つになり一戦一戦全力で挑む。長短の正確なパスが持ち味でFC今治内定のMF松井治輝を擁し去年のベスト16以上を目指す。

▽第99回全国高校サッカー選手権
第99回全国高校サッカー選手権