鈴木監督の期待値も高いU-17日本代表候補の桐光学園MF山市秀翔

 1996年度選手権準優勝や2012年度選手権ベスト4、2018年インターハイ準優勝、そして2019年インターハイ優勝など、全国大会でも数々の輝かしい成績を誇り、多くのプロサッカー選手を輩出している名門・桐光学園サッカー部。関東大会神奈川予選の決勝戦後、鈴木勝大監督に話をうかがった。

ーーまず今日の試合(決勝戦)を振り返っていかがだったでしょうか?

 課題はたくさんありますね。これは選手にも言ったんですけれども、勝負として考えた時に、決勝で負けたら初戦で負けたことと一緒だよと。去年の選手権でも決勝で負けているので、勝負に徹するということが重要だと。彼らにそのことを印象付けたかったので、彼らが奮起する要素として繰り返し伝えました。決勝で負けたら初戦で負けたことと一緒だと。関東大会の出場が決まったとはいえ、もっと勝負に徹してやらなければいけないと思います。

ーー今日の試合を勝ちきれなかった要因はどういったところでしょうか?

 チャンスがあった中で決められなかったというところだと思います。詰めの甘さ、精度の甘さがあり、そこをしっかり決めることができなかったのが、80分延長含めて100分、そしてPK戦まで伸ばしてしまった要因だと思うので、試合の中ですべてを否定するわけではないのですが、最後のフィニッシュという部分ではチャンスがあったにもかかわらず決めきれなかった。紙一重かもしれませんけれど、チャンスはしっかりとゴールを決めるという、その部分の精度を上げていかないといけないと思います。

ーー守備の方に関しては今大会無失点で戦いたと思うんですけれども、攻撃の方がなかなか点が取れなかったということに関してはどう思っていらっしゃいますでしょうか?

 守備に関しては、少しずつウチらしい「体を張る」こととか、そういったものが要所要所に出始めてきたのでその辺のところはもう少し積み上げていけたらいいかなと思うんですけれども、攻撃に関しては今日だと例えばウチのFW三原(快斗)がメディカルのトラブルで出られなかったので、そういったところを個人に頼らずに組織としてしっかり崩せるようにトレーニングで集めていきたいなと思います。

ーーMFの山市(秀翔)選手などは、しっかりと声も出ていてキャプテンらしい引っ張る姿勢は見えていたかなと思いますが?

 悪くはなかったと思います。ただやっぱりゲームを決める力とか演出する力とか、(U-17)日本代表候補の選手ですから、そういったところでもっと違いを見せつけられるような選手になってほしいなとは思います。

桐光学園・鈴木勝大監督

ーー雨も降って風も強く、コンディション的には厳しいところもあったと思うのですが、そういった部分も戦術に影響があったのでしょうか?

 前半と後半の環境の違いなど、ゲームを運ぶ上では、正直、今日はちょっと参考にしづらい部分はあったと思います。でもこういったことがあるのがフットボールの世界だと思うので、過去に落雷などで数時間もロッカーに閉じ込められたこともあります。そういったイレギュラーなアクシデントというものは人やチームを成長させてくれるものの1つだと思っています。ですので今日のこういったゲーム展開というのも、チームの血となり肉となっていけばいいのではないかなと思っています。

ーー2019年のインハイを制したチームと、今のチームの違い、課題などはどういったところだと感じていらっしゃいますでしょうか?

 総合的には今年のチームの方が上だと思います。ただ(2019年の)西川潤(現セレッソ大阪)のような選手がいるかいないかの違いだと思います。今日のようなゲームでも西川潤なら、99分消えていたとしてもラスト30秒で仕事をしますから、その辺のところは大きな違いかなと思います。

ーー桐光学園のFWの選手は駒が揃っていて、爆発すれば点を取れるような雰囲気があると思うんですけれど、イギョラ杯や船橋招待ではなかなかうまく機能していなかった部分も感じたのですが?

 ちょっとケガ人が多くて、ようやく何人か戻ってきたという状況もあると思うんですね。この関東大会もギリギリのところで人が揃ってきたというところもあって。例えば18番の粟江(晟)や24番の斉藤(凌玖)などは1割か2割くらいしか力を出してないと思いますし、もう1人2年生でゲームの軸として関われる選手もまだケガで出場できる状態ではないので、そういう部分での熟成度というのはなかなか難しいところもあるかと思います。ただ、そういった選手たちが揃ってきて、やることの方向性が定まってくれば、もっとクオリティの高いゲームができるんじゃないかなとは思っています。

ーー関東大会ではどういった戦い方で臨みたいと思われていますでしょうか?

 3日間連続で試合がありまして、その翌週にインターハイの予選がありますから、そこに繋がるようなゲームとコンディションなどを見据えてしっかりと戦いたいと思います。

▽令和3年度関東高校サッカー大会神奈川予選
令和3年度関東高校サッカー大会神奈川予選