指示を出す大阪桐蔭の永野悦次郎監督

全員守備からの全員攻撃を徹底してインターハイ大阪予選で準優勝を果たし、5大会ぶり8回目の全国への切符を手にした大阪桐蔭。プリンスリーグ関西第9節金光大阪戦後(2-1で勝利)に永野悦次郎監督にお話を伺った。

ーー今日の試合を振り返ってみていかがだったでしょうか?

 中々ゲームを上手くコントロールできないのが課題ですね。自分たちというよりも相手を上手くコントロールして、ゲームをコントロールして、自分たちのサッカーがもっとできないと。そこは常に言ってきているんですけど、まずそれをする為のポジションに立てない。予測が足りない。同じ距離間のブロックが出来ない。チームプレーが足りない。っていうような内容でした。

ーー自分たちがボールを持てる展開だったと思うんですが、フィニッシュまで行くまでに苦労していましたね?

 自分たちがボールをキープ出来て早く行くのか、ゆっくりと繋ぐのか、というところがチグハグですよね。それに伴って計画を立てないといけないのに、FWの選手に存在感が足りないし、中盤の選手はFWを見ずに勝手に動いているのでまとまらないですよね。全て早く行こうとしてしまうことも多かったし、ボールがない時にみんなで話せばいいことなんですけど、どうしてこうも出来ないのかなというところがありますね。

ーー今日はみんないつもより静かだったように思えたんですが?

 やっぱり勝てば2位、負ければ低迷していくっていう試合だったので緊張していたんだと思います。

ーーいつもと違うメンバーが出ていましたが?

 (インターハイに向けて)17名に絞り込んでいかないといけないので、GKの須田が藪中の影に隠れていたのでどこまで出来るか見たかったし、あとまだ19日に興國戦が残っているので、そこである程度決めていこうとは思っていて、そうやっているから選ばれる選ばれないで緊張もするし、噛み合わないところもあったと思います。もっと伸び伸びやれたらよかったんですけど。みんなで考えて動かないといけないので自由に動きたいけど自由がない。チームプレーの最初の段階のところをわかって、もっとみんなで考えてっていうところが日常から出来ていないですね。相手は一貫してフィジカル的なサッカーをして、ロングボールで来てました。絶対勝たないといけないって必死になって挑んで来てましたけど、うちの選手は足先だけで、レアルやバルサが試合前に遊んでいるような感じでやっていたので「動画の見過ぎちゃうか?なにを適当なことをやっているの?」とそこは叱りました。

ーーインターハイの相手が決まりましたが?

 帝京第三(山梨)さんはあらゆる遠征先でいつもご一緒させていただいていて、相良監督のことはよく知っていて、彼も僕の事をよく知っていて、大阪桐蔭の事もよく知っているので彼は多分攻略を色々考えてくると思います。

ーーではやりづらさがありますか?

 凄くやりづらいですね。全く知らないチームだったら割り切ってできるんですけど。凄く仲のいいチームだけに、「初戦であたるのか」って辛さはあります。

ーーブロック的にはどうですか?

 初戦で勝てば2回戦で同じ関西の関西学院(兵庫)さん、そこも勝ち上がっていけばまた全国の強豪校と正式な舞台で戦える。そこは望むところなので、1回戦2回戦では負けたくないです。

ーーチームの雰囲気はどうですか?

 5大会ぶりのインターハイなので、この子たちはそういう経験をしていないし、先輩からも情報を得れていないので、どれだけ暑いのかだったり、連戦の難しさだったりを知らない。効果的に戦っていかないといけない。そういう計画性は僕らが当然発信しますけど、彼らがそこを予測してこれからどう夏休みを過ごすのかっていうところですよね。自分たちで勝手に適当に考えてっていうのは一番避けたいし、コロナ禍ですのでそこは気を付けないと。「大阪の代表チームなんだから気を付けないとみんなに迷惑をかけてしまうよ」ということは言ってます。何もわからないし、どうやって考えたらいいかもわからない状況だと思うので、だからもっと時間をかけてその辺の話をしていかないといけないなと思っています。

ーー2017年の選手権で全国に出ていることで「大阪桐蔭に入ったら全国に出れる」って意識はみんなありましたか?

 そこもあるとは思うんですけど、うちは推薦でしか入れないんです。彼らのジュニアユースの時の指導者の方と話をして推薦で来てますから、「選手権にでたから行きたい」っていう軽い気持ちでは来てないと思います。山の中腹にグラウンドがあって携帯も持てないし、勉強で課題を出されたら練習もさせませんし、レギュラーの子でも学生として適当なことをやっていたらサッカーはさせませんので。そういう学校だと認識して来てくれているので、ユースに行けなくても大阪桐蔭に行って心も学力も磨いて人間力を高めてプロに行ったり、偏差値の高い大学に行って、関西の1部リーグの大学は偏差値が高いのですからね。そういう人間になってまた大学の4年間で勝負したいって子たちですから。

ーーいつも前半が終わったら全員が主審に挨拶にしに行ったり、規律を大切にしていますよね?あれは永野監督が根付かせた文化ですか?

 はい。レフェリーのジャッジに高校生が偉そうに文句言ったりっていうのが15年前にありましたので、ジャッジしてくれているんだから挨拶しなさいっていうことで最初はスタートしましたね。

ーーそこは入学した時に大阪桐蔭はこうだよって事で教えるんですね?

 グラウンドに唾を吐くこともさせていませんし、ジャッジに対しても従いなさいということでやっています。

ーーそういう経緯があったんですね。インターハイ楽しみにしています。

(文・写真=会田健司)

▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)