港の補助員としてベンチに入ったFPとGKの二刀流女子選手・長崎心優

 今年も各地で行われている選手権予選。大阪では緊急事態宣言が発令されたこともあり開幕が延期となった。3週間ずれた開幕も9月18日に各会場で1回戦が無事に行われた。9月19日に記者が取材に訪れた会場では1回戦のアサンプションが第2試合に予定されており、1試合目の試合中に両チームがグラウンドの横でアップをスタートさせていた。ふと、港がアップしている方に目をやると、そこでは2人のGKがキャッチングの練習をしていた。ユニフォーム姿の男子選手とユニフォーム姿の女子選手?

 「マネージャーがGKのアップを手伝っているのかな?」と一瞬思ったが、横を見るとマネージャーらしき女子が2人。その時は深く考えずに1試合目の取材を終え、2試合目の開始前に本部にメンバー表の写真を撮らせてもらいに行った。港のメンバー表には11人の選手の名前が並び、勿論そこには女子の名前はなかった。

 2試合目が終わり、1.2年生のチームでベンチメンバーもいない港はアサンプションに0-16の大敗を喫した。試合後、港の宮地監督に話を伺うと「スカウティングもさせてもらっていたんですが、当然うちの子たちとは体格もサッカーのレベルも違うんですが、8月の終わりのところにスイッチを入れさせていたところで延期になってしまったので選手も難しかったと思います。『それでもビビッて終わるのだけはないように』と送り出して最後の15分は出し切ってくれたかなと思います。大敗はしましたけど、次につながる試合をしてくれたと思います」と選手を労った。

 その後に「新たに女子部員を入れまして、その子がかなりサッカーの経験がある子なので新たな刺激を与えてくれています」と宮地監督が言うので「GKと一緒にアップしていた子ですね?」と聞き返すと、宮地監督は「あの子はGKもフィールドも出来る二刀流なんです」となんとも興味深い回答をくれた。

 という訳で、港の補助員としてベンチに入った長崎心優選手に話を聞いた。

ーー監督さんからいつも一緒に練習していると聞いたんですが、部活に入った理由を教えてもらえますか?

 サッカーが好きだからです。

ーー女子サッカー部があるところではなくて男子の部活に入った理由は?

 今はそれ(女子サッカーチームに入る事)は考えていなくて、『取り合えずサッカーがしたい』という気持ちが凄い強かったので男子と一緒にやって、みんな優しくて『サッカーしてて楽しいな』って思うから、またサッカーをやろうと思って今はやっています。

ーー部活にはいつから入ったんですか?

 7月です。こっちに転入して来てそこからです。

ーーそれまでは女子サッカーでやっていたんですか?

 宮崎の都城聖ドミニコ学園高校というところで女子サッカー部に入っていました。

ーーそれで港に転入してきて女子サッカー部が無いので男子のサッカー部に入ったということですね?

 はい、そうです。

ーーサッカー部はどうですか?

 凄く楽しいです。サッカーをやっていて久しぶりに『こんなに楽しいな』って思って、伸び伸び出来ています。

ーー女子だけでやるのと男子と混ざってやるのではまた違うと思うんですけど、そこはどうですか?

 全然違くて、雰囲気も違うし力の強さだったり速さだったりも違うから勉強になるし。でもみんなそれをわかった上でいろいろやってくれるので、やりやすいです。

ーー今日は負けてしまいましたが、試合を観ていてどうでしたか?

 観ていて楽しかったです。私が試合を観るのはまだ2回目なんですけど、みんな全然うまくなっているし、練習でやっている事も出来ていると思うし。でもやっぱり悔しがっている人たちもいるから、ちゃんと真剣にやって『サッカーが好きなんだな』と思うから、そのチームの中に自分が入れてよかったなと思います。

ーーお話ありがとうございました。

 ありがとうございました。

【長崎心優(2年)】
中学時代は鹿児島県の国分南中で女子サッカー部に入りながらクラブチーム(HKSCリンドーゼ霧島)でもプレー。
高校に入り宮崎県の高校総体で今年初優勝を果たした強豪都城聖ドミニコ学園でプレー、転入を機会に7月から港のサッカー部に入部した。
規定上、大会にはエントリー出来ないが、練習を通して部員の一員としてサッカーを楽しんでもらいたい。

(文・写真=会田健司)

▽第100回全国高校サッカー選手権大阪予選
第100回全国高校サッカー選手権大阪予選