試合前に選手たちに指示を送る大阪商大高・中村隆都監督

 今年のインターハイ予選では6回戦で大阪桐蔭に敗れたものの、2回戦からの勝ち上がりで見事に16強入りを果たした大阪商大高。リーグ戦ではここ2カ月負けなしと好調を維持したまま臨んだ選手権だったが、初戦でアサンプションに敗れ無念の3回戦敗退となった。その大阪商大高を率いる中村隆都監督に3回戦(vsアサンプション0-3●)の試合後に話を伺った。

ーー残念な結果に終わってしまいましたが、今日の試合を振り返ってもらえますか?

 初戦という事で硬さがありました。やっぱり向こうは今日で3試合目なので向こうに分がある事はわかっていたんですけど、それでもうちはうちなりにいい準備をしてきたと思うんで。勝てなかったのはちょっと残念でしたね。前半0-0で折り返せれば、後半向こうは落ちるところがあると思っていたので、後半の立ち上がりの飲水までの15分で1点決めて勢いを付けたかったんですけど。飲水後に相手に2点目が入ってしまって勢い付かせてしまったなと思います。セットプレー2本が入っていればまだチャンスはあったんですけど、中々思い通りにはいきませんでした。

ーー後半の入りは凄い良かったと思うんですけど、ハーフタイムにはどういった声を選手たちにかけたんでしょうか?

 ミーティングで「相手が後ろで繋ぐところをもう少しカバーシャドーを掛けてアプローチしていこう」と話しました。ロングボールを蹴らせて競って走ってというところでうちに分があると思っていたので、前からのハイプレスをかけていきました。あとは自分たちがリーグ戦でやってきた積み上げてきたものに自信があったので、それを体現できるようにプレーしようと送り出しました。

ーー後半は飲水タイムまでずっと押し込んでいましたが?

 そうですね。あそこでセットプレーが2本あって、セットプレーはだいぶ練習してきて春からの強みでもあったので、そこは活かしたかったところです。見ていても初戦でやっぱり硬かったし、空回りしていたところもあったので、シード校の難しさっていうのは痛感しました。

ーーインターハイで6回戦まで勝ち進んで手応えもあったと思うんですが、選手権までの間はどのような強化をしてきたんですか?

 インターハイでは大阪桐蔭さんに対して負けてしまいましたけど、それでもハイプレスっていうところでは自分たちも手応えがあったので、ワンチャンス狙えるシーンもあったのでこのまま続けていこうと。あとは攻撃のところで、蹴るは蹴るでも意図のないロングボールがちょっと多かったので、サイドハーフにつけてみたり、トップ下トップにつけて前の状況を見てから判断をするビルドアップのトレーニングを増やしてきました。その結果、今日もサイドで崩せたシーンやドリブルとかワンツーとか3人目の抜け出しとかっていうのは練習で取り組んでいたので、それはちょっと発揮出来たので良かったなと思います。

 あとはチームとして"自分たちはこういう戦いで行くんだ"っていうところが明確になって全員が同じ方向、テーマを持って取り組めたのが良かったと思います。

ーートーナメントの山的にもきついところに入ってしまいましたね?

 そうですね(笑)。(初戦から)大一番でしたね。アサンプションさんのリーグ戦も観させてもらっていたので、"かなり厳しいな"というのはわかっていました。だから「自分たちが守備をする時間は長くなるよ」とは言っていて、ただ1失点目が自分たちのミスからだったので、勿体なかったなと思います。0-0で折り返せれば後半チャンスはあったかなと思います。相手も嫌だったと思うので。

ーー(3部の)リーグ戦はまだ残っていますか?

 はい、あと1試合残っていて11点差で勝てばプレーオフに進めます。僕らはまだそこまで戦うつもりですので「最低でも11点取ろう!」っていう事は言っています。ただ、彼らの中ではこの選手権が大きな分岐点だと思うので、次なんとかリーグ戦で11点決めて、まあ最低でも勝って後輩たちにいいお土産を残せればと思っています。

ーー今年の3年生はどういう子たちでしたか?

 やんちゃですね(笑)。やんちゃで何回も怒りましたね。ほんとに。オフザピッチ、サッカー以外のところで人間的な成長を目指して取り組んでいたので「サッカー以外のところでちゃんとしてなかったら、自分たちにチャンスなんて巡ってこないよ」と、人間的な成長が技術の進歩に繋がるという話をずっとしてきました。結局、自分からサッカーを取り上げたら何が残るのか。人としてどうやって世に役立つ人間になるかっていうことを言ってきたので、リーグ戦でも勝っていく事でそれをわかっていくこともありました。

 まずは勉強を頑張る。高校生としてのルール、マナーを守るとか。そういった事を1年間徹底してずっとやってきましたので。それが少しずつ実を結んでリーグ戦で自分たちがやってきた事は間違いがないなと確信があった中で今日の試合でしたので。トーナメントなので0-1で負けても0-3で負けても一緒のところがあるので、最後は1点を取りに行ったので失点はしょうがないですね。残念でしたし、力不足でした。

ーー1.2年生で迎える新チームに対してはどういう意向を持っていますか?

 やってきた事は間違っていないと思いますので、もう少し個人のスキルのアップもそうですし、前線の状況を見ながらボールを保持できたら一番いいとは思います。チームとしてはここ数年で方向性が出来上がってきているので、攻撃はその精度とスピードを上げていく。守備はもっと組織的に守れるようにならないといけませんし、ボールのないところでどれだけいい準備が出来るかっていうところですね。今日も後半から出た選手は2年生ばかりなので、そういった選手たちが3年生になった時にサッカーだけになるんじゃなくて、サッカーを通して色んなことを学んでくれたらサッカーにも活きてくるんじゃないかなと思っています。

(文・写真=会田健司)

▽第100回全国高校サッカー選手権大阪予選
第100回全国高校サッカー選手権大阪予選