全国屈指のタレント軍団である興國を率いる内野智章監督(写真は5回戦時)

 一昨年の選手権大阪予選で優勝を飾り全国大会に初出場した興國。昨年は連覇が期待される中、樺山諒乃介選手(現・モンテディオ山形)などJ内定4名を擁し準々決勝で敗退。注目度も期待も高まる中、今年は川崎F内定のMF永長鷹虎を筆頭に3名がJ内定(10/28現在)を掴み選手権に臨んだ。5回戦から登場し、関大北陽を1-0で破ると6回戦では香里ヌヴェール学院に対し4ゴールを叩き込み4-0の快勝。そしていよいよ準々決勝でプリンス勢の大阪産大附と対戦する。その興國を率いる内野智章監督に6回戦後にお話を伺った。

ーー見事な勝利でしたが、今日の試合を振り返ってもらえますか?

 先週よりも安定はしていたかなと思います。ただやっぱり思ったようにいっていないなと。攻撃のところとかビルドアップのところでもまだまだっていう。公式戦というストレスもあるのでそれはしょうがないですけどね。

 でも3点目(FW荒川がPKを獲得しMF永長が決めたシーン)のところ、どこのチームもMF宮原勇太とかMF永長鷹虎にパスを入れさせたくないと思うんですけど、そこを相手が狙っているところで、FW荒川永遠が相手の背後を取ってそこにDF坂本稀吏也が上手く一発で配給できるので。俗にいう縦ポンなんですけど、興國にとって縦ポンで点が取れるという事がめちゃくちゃでかくて、相手がコンパクトにしてきたところを一発で裏を取れるので。だからあのゴールは今までの興國には中々なかったゴールなので、3点目に関しては非常によかったと思いますね。

ーーそれがあると相手も守り方が難しくなりますよね?

 そうなんです。あとは、大抜擢の1年生のDF西岡隼平が最初は硬かったですけど、ゲームに徐々に入れるようになって点も取って本当に良かったなと思います。スピードもあるし、高さもあるし、対人もあるし、技術もあるし、両足使えるし、FW出身なので点も取れるしで彼は相当なタレントだと思います。彼が台頭してきて、今まで鉄板だったDF和田哉輝がオチオチしていられないってところもチームにとっては凄くポジティブやなと思います。

ーーMF武本射雅選手も5回戦6回戦で結果をだしましたが?

 彼が良いのはわかってるんです。むしろプロに行ってないといけないタレントなんですけど、メンタルに波があるので、そこだけなんです。能力はスーパーなんですけど、その辺がまだ幼いですね。

ーー去年はJ内定組がチームを離れている事が多くて選手権に響いてしまったと仰っていましたが、今年はその辺でどうでしょうか?

 やっぱり去年は"俺たちめっちゃ強い感"がJ組以外に出ちゃっていたんで、今年はそれを見ていたんでそういうのはないですね。むしろ去年のあのメンバーで勝てないのが選手権だよっていう。結局スーパープリンスで優勝したセレッソ戦だけほぼほぼベストメンバーが組めて3-1で倒しているので、やっぱりそういう結果が、"ベスト組んだら俺たち強い"っていう慢心を去年は生んだので、インターハイが無かった分公式戦のストレスも感じれていなかったし。

 そこと一緒にやっていた今年の3年生は如何に去年が凄かったかを一番知っているので、"あれでも勝てないんだ"っていうのが今年のチームには良い薬になっています。

ーー今年のJ内定組の3人(永長、荒川、向井)はそういう意味ではどうですか?

 DF坂本稀吏也もオファーを貰っていてプロに行くことは決めているので、あとは本人がチームを選ぶだけなので4人になると思います。

 今年は強化指定で呼ばれてはいないので、クラブの方がスケジュールを考慮してくれているところもあって。なので今年は(J内定組が)チームにいるので、今までとは違う雰囲気にはなっていると思います。あとは大会前日に坂本にオファーが来て、諦めずにやっていればプロに行けるんだなっていうのもわかったので。

ーー選手権で一昨年全国に行って、去年を踏まえて内野監督自身に気持ちの変化はありますか?

 やるからには勝ちたいですよね。やるからには勝ちたいですけど、それでも僕にとっては一つの公式戦でしかないです。そこら辺は変わっていないですね。

ーーチームや内野監督への周りからの注目度だったり期待は大きくなっていると思いますが、それでも変わる事はないですか?

 あんまり関係ないですよ。僕の中での最大のプレッシャーであり、ストレスは選手の進路をどれだけ決められるかっていうところなんで。あと、自分は監督として勝たせるのが上手くないって自分でわきまえているので。諦めてはいないですよ。反省して修正はしていますけど、それが上手じゃないって事は受け入れているので。

 その中で、一戦一戦勝ちに行くって事はやっていますけど、一つの公式戦。それ以上でもそれ以下でもないです。期待して頂けるのは本当にありがたいです。だけど、あくまでも一つの大会、一つの公式戦っていうのは変わらないです。

(文・写真=会田健司)

▽第100回全国高校サッカー選手権大阪予選
第100回全国高校サッカー選手権大阪予選