準々決勝でタレント軍団の興國を撃破した大阪産大附の中西幸司監督

 選手権大阪予選準々決勝で興國を3-3からのPK戦で撃破した大阪産大附。積極的な前からのプレスを仕掛け、その強気な姿勢で3度のリードを跳ね返した。大阪産大附を率いる中西幸司監督にとってはこれが選手権大阪予選初のベスト4進出となった。その中西監督に準々決勝の試合後話を伺った。

ーー凄い試合でしたが、試合を振り返ってもらえますか?

 選手が諦めずによく頑張ってくれました。

ーー諦めないプレーはどういうところに感じられましたか?

 前回プリンスで興國さんと対戦させてもらった時に、やっぱり向こうはタレントがいる中で自分たちが壁を作って自分たちの中に敵を作っていました。あの時の0-3の負けからこの3カ月でどうトレーニングで詰めるか。一歩の寄せであるとか、1秒の切り替えであったりとか、50cmのコントロールだったりの細かいところをこの3カ月で子供たちが見直して、相手に臆することなく粘り強く選手権に向けてその流れをやり続けるってところをトレーニングの中で意識し出してくれて、前回の負けからチャレンジャーとして諦めないプレーっていうのが身に着いてきたのかなと思います。

ーー今日は何度も追いかける展開になりましたが?

 そうですね、失点もするし相手ももちろんタレントがいるので。でもそんなんじゃないと。「自分たちが今やってきた事を最後まで出し続けよう!」と、いうのが大きいですし、去年ここでベスト8で阪南大高さんに負けて、"この壁を自分たちで超えたい"、インターハイも大阪桐蔭さんにベスト8でPKで負けていたので、"この壁を超えたい"って気持ちがプレーに乗り移って、チームとしてやろうとしていたことが最後まで戦術面も実行してくれましたし、失点しても下を向かず前を向いてやり続けてくれたことが、最後のPKも止められて興國有利になりかけたんですけど、最後の最後まで、笛が鳴るまでやり続けてくれたところだと思います。

ーー選手権でベスト4に入ったのが21年ぶりとなりますが?

 僕が監督になる前ですね。僕が監督になってからはベスト4は初です。前監督の時から僕もコーチとして一緒にやっているんですけど、インターハイも含めてベスト8以上は行っていなかったので。

ーーその壁を一つ超えられていかがですか?

 子供たちとは「壁を破ったら次の目標を設定しよう!」と言っているので、これで満足はしていないと思うんですけど、ひとつチームとして学校として超えられたれたことがまた何かここから見えるものが出てくると思うので、この一週間そこを詰めてやりたいと思います。

ーー前半、9番FW増田選手のところで点にはならないものの何回もチャンスがあったことで勇気をもって続けられたのかなと思うんですが?

 ずっとプリンスの話をさせてもらいますけど、そこはやっぱり基準となって興國戦はトレーニングしてきたんですけど、あの時は構えてしまって全然プレッシングに行けなくて間延びしてしまって、立ち上がりのCKで失点してしまったので、もう「ワンプレー目から相手に臆することなくプレッシングに行こう!」と、それは6回戦の大阪学院大高戦からやり続けている事なんですけど、相手とのマッチアップも恐れず、後ろに保険を掛け過ぎずに高い位置から行きました。

ーーファーストチャンスからポストに当たったプレーがありましたが?

 そうですね、どこかでやれると感触があって、それがあったので失点しても落ちなかったのかもしれません。

ーー交代選手も活躍してどんどんヒーローが変わっていきましたね?

 子供たちが勝手にスイッチが入ってやってくれたので、僕じゃないです(笑)。あんなプレー見たことがないです(笑)。練習で見たことのないプレーが2つ3つ出ましたね。ヘディングで取ったの子(後半終了間際にFW福元爽真がゴール)が1年生なんですけど、そんなに今まで使っていないですし、5.6回戦も出てるんですけど最後に試合を終わらせる役目で出ていたので。そこは彼が素晴らしかったです。最後延長で取った子(MF河本真翔が延長後半にミドルシュートでゴール)も先週までメンバーから外れていたので。この一週間でメンバーに入りました。

ーーミドルは持っている子なんですか?

 パンチ力はあります。でもあんなのは見たことがないです(笑)。パンチ力はあるんですけど、枠に行くことがあんまりないんですけど、何かが乗り移ったんですかね?(笑)

ーーPK戦でもGKが2本止めましたね?

 インターハイは彼(GK堤奨悟)じゃなかったので悔しい想いをしていたんだと思います。相当な気持ちを持ってやってくれてPK練習もやってきたので。

ーープリンスでは攻撃で苦労していたと思うんですが、今日これだけサイド攻撃が機能したのはどこが変わったのでしょうか?

 プリンスの時はバランスを取る事が中々上手くいかなくて。攻撃になったら守備のバランスを崩すし、守備になったら攻撃がいないしっていうそういうちょっとしたポジションとか、ボールの動き方によってどこに人数を掛けるかっていうところで、選手たちがその距離感というところで"ここはスイッチが入るな"っていうところでの連動性が上がってきたかなと思います。それで、アタッキングサードとミドルサードのやる事が整理されてきて、相手のDFラインとの駆け引きが出来るようになってきたので良くなったと思いますね。

ーー両サイドは走れるだけ走った感じでしたよね?

 そうですね、両サイドとも頑張ってくれてそれにSBがついてこれるようになったことで、そこにボランチが入れるようになって、サイドで数的優位を作ってアーリーも入れられるし、縦にも行けるし、クサビも入れられるしっていう選択肢が出来る状況が作れるようになってきたところですね。攻撃で言うと3点取れたのが初めてなので。今シーズン初です(笑)。公式戦は2点までしか取れていなかったんですよ。

ーーキャプテンのMF島田くんはどんな選手ですか?

 気持ちは歴代一番です。チームの先頭に立って嫌がる事も全部やりますし、もちろん一回も裏切ったことがないですし、熱い男です。ピッチの事は全部任せています。

ーー試合が終わってすぐに円陣を組んでいましたが?

 ミーティングは普段から僕が言わなくても彼がやるので。すべて彼がやるので信頼しています。

ーー最後に次戦に向けて意気込みを教えてもらえますか?

 阪南大高さんも(興國と)同じです(笑)。プリンスで大敗していますし。今日も負けてもおかしくないゲームだったので、これを超えたので選手たちも思いっきりやってくれると思います。細かい部分は分析して相手の特徴を消しつつ自分たちの持ち味を出せるように一週間トレーニングして思いっきりやりたいと思います。

(文・写真=会田健司)

▽第100回全国高校サッカー選手権大阪予選
第100回全国高校サッカー選手権大阪予選