先制ゴールを決めた京都橘FW木原励

 高円宮杯 JFA U−18サッカープリンスリーグ2021関西は12月4日、第18節の最終節5試合がJ-GREEN堺で一斉に開催された。メイン会場であるS1で行われた阪南大高(大阪)と京都橘(京都)の一戦は、FW木原励とDF前山仁のゴールで京都橘が2-0で勝利した。

 この試合で得意の裏への抜け出しから先制ゴールを決めたFW木原励。浦和レッズに内定し注目された木原だったが、今年のプリンスでは怪我もありゴールを量産することが出来なかった。しかし最終節でしっかり決め切ったその木原に試合後話を聞いた。

――今日の試合を振り返ってもらえますか?

 最後の試合という事で3年生で行くことが出来て、今まで今年は思うようにはいかなかったし、この学年で何か残すことが出来なくて、みんな試合に出てる子出てない子で"自分なら!"って色んな想いや、沢山悔しい気持ちとかもあったと思うので、最後一つになって戦って勝つことが出来て、本当に"3年間の集大成"と言えるような試合だったかなと思います。

――試合開始直後に決定機がありましたが、あれで今日は裏に抜けることが出来る感覚ができていたのかなと思うんですが、ゴールのシーンを振り返ってもらえますか?

 阪南戦は前回もそうだったんですけど、背後のところはチャンスかなと思っていて、最初に背後を取れて決められたら良かったんですけど、何回も背後を狙いながら、"いつかもう一回くるな"と思っていて、その中の1回のチャンスを決め切れたのは良かったなと思います。

――シュートの際はGKとかなり近かったと思いますが、どういう意識でシュートを打ちましたか?

相手DFラインの裏に抜け出す京都橘FW木原励

 ずっと"ループが行けそうやな"という感覚があったので、ドリブルは大きくなってしまったけど、スピードで行けるかなと思って、最後はGKを見て冷静に判断出来ました。ただ、もっと流し込む感じで決められたら良かったんですけど、とっさに判断できたのは良かったです。

――抜け出す時もDFに一回体を当ててから前に出ましたが、体を当てたことで完全に抜け出せたと思うんですが、あれは意識的にやっているんですか?

 抜け出しの部分は僕の特徴だと思っていて、普通に抜け出すことは出来ているんですけど、"先にアーリーヒットをしてから抜ける"って事を1年間監督から言われていたので、練習で出来ている時もあったんですけどなかなか試合で結果に結びつかなくて、それが最後にこうやって形になって良かったなと思います。

――今年はプリンスでなかなか点が取れなかったと思うんですが?

 "自分が点を取れば勝てる"とずっと思っていて、今年は(インターハイの)決勝の東山戦だけ点を取って負けたんですけど、それ以外は自分が点を取れば勝てていたので、僕が点を取れないからチームに迷惑を沢山かけてしまったし、こうやって最後まで残留争いをしてしまったと思うので、もっと自分が点を取ってチームを勝たせたいと思っていましたし、キャプテンとして色んな思いもあったんですけど、怪我もあったりしてコンディションが上がらなかったのもあって、なかなか結果としてあらわれてくれなくて。去年までの様にチームを勝たせることが出来なくて悔しい1年だったし、しんどい1年だったなと思います。

――去年と比べると役割が多くて点を取るのはむずかしかったと思うんですけど、そこはどうですか?

 去年は(西野)太陽君(現徳島ヴォルティス)が横にいて、プレーの面でもそうですし、精神的にも凄い安心してリラックスした状態で、太陽君に任せながら自分が点を取ることに集中出来ていた部分があったので、今年は前線で収めたり色んな仕事があって、それは去年も同じなんですけど、今年は去年より一人でやる量が多かったので、攻撃の最後の部分で力を発揮することがむずかしかったところがありました。

 プロの世界に行ったらもっとむずかしいと思うんですけど、でも逆に一人でやっていたからこそ自分のプレーの幅も広がったと思うので、去年ほど良い1年ではなかったんですけど、強くなれた1年になったのかなと思います。

――ターゲットがいてその横から抜ける役割の方が木原君にはいいんですかね?

 そうですね。でも去年の場合だと2人で分担し合って、どっちかが競ってどっちかが抜けるっていうのがわかり合えて2人とも出来ていたと思うので、凄い楽に楽しく出来ていました。今年は足元が上手い選手が多くて、ドリブルが出来る選手が多いので、自分も裏に抜けるところだったりポゼッションをもっと沢山やりたかったんですけど、なかなか型にハマる事が多くなくてむずかしかったところはあります。

――今日はDF陣も身体を張って守ってくれていましたね?

 最近はDF陣が本当に凄い安定していて、失点も少ないので、ずっと身体を張って守ってくれていたので、"前がなんとかしないと"っていう気持ちもがありましたし、失点はしないけど点を決めれなくて同点ってこともよくあったので、凄く助けられていました。僕が怪我でいないプリンスの時も後ろが安定していたので負けずに来れて、後ろの頑張りが今日の勝利も、残留にも大きかったなと思います。

――3年間の活動を振り返るとどうでしたか?

 下級生の頃は上の学年に引っ張ってもらってついて行っていて、僕はそういう感じの方が成長できるのかなと思うんですが、1年からプリンスやインターハイや選手権に出させてもらって、高いレベルでやることが出来たので、自分の成長にも繋がったなと思います。今年はチームとして悔しい結果になってしまったんですけど、みんな次のステージに向けていい経験が出来たのかなと思います。

――高校生活はどうでしたか?

 凄い楽しかったしこの学校を選んで良かったなと思います。勉強とかしんどいこともあったんですけど、学年が上がるごとに仲が深まっていって、昨日で授業が全部終わったんですけど、授業が終わるのも凄い悲しかったですし、もう少しやりたかったなと思います。

 (文・写真=会田健司)

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