8年間過ごした大好きなクラブをプレミアに上げて卒業する川崎フロンターレU-18キャプテンGK青山海

　12月12日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2021 プレーオフ決定戦（2回戦）の第1試合で川崎フロンターレU-18(神奈川)と阪南大高(大阪)が対戦。前半をスコアレスで折り返した一戦は後半にFW五十嵐太陽の2発などにより一挙3点を挙げた川崎フロンターレU-18が3-0で勝利しプレミアリーグ初昇格を決めた。

　試合後、最後尾からチームを盛り立て無失点で勝利に貢献したGK青山海は「前半は相手の圧に押されてしまって30分ぐらいまではあまりいいゲームが出来ていなかったんですけど、そこでもピッチ内では"ゼロで抑えよう！"と声を出していて、それが出来て後半に繋がったのかなと思います」とコメント。

　序盤は阪南大高の厳しいプレスに苦しみ劣勢を強いられたが、「CKのところ(ピンチの場面)でも、精神論になってしまいますが"(プレミアに)上がりたい！"って気持ちが出たのかなと思います」とプレミア昇格への強い気持ちを持ってゴールを守っていた青山。

　今年はチーム始動からプレミア昇格を目標に掲げ、プリンスも一戦一戦やってきた結果、プレミア参入戦へたどり着いた。そして「3年生が置き土産を来年に残してあげよう！」とこの一戦に挑み見事にプレミア昇格を果たした。

　青山はキャプテンとしてこのチームを引っ張ってきたが、「僕たちの学年はまとまっているので、ズレた時だけ練習で『ちょっとそこは違うんじゃないか』と言えば大丈夫だったので、そこまで苦労はなかった」とキャプテンとしての苦労はなかったと話したが、「我慢強さが一番成長したところだと思います。声を出す事も自分の持ち味で、出し続けることで"後ろにうるさいのがいるな"と思ってもらって安心してもらえば」とこの試合でも劣勢の時間帯にはチームを鼓舞し続け、キャプテンとしても守護神としてもチームを支えていた。

　もともと強い世代と言われていた今年の世代だが、現在プロで活躍している先輩達でもプレミアに昇格することは出来なかった。「一人一人上手い選手が揃っているし、それが足し算じゃなく掛け算になってチームが上手くいったんじゃないかなと思います」という青山の言葉が、個人の能力だけではなく、今年のチームがチームとして上手くハマったことを物語っている。プリンスリーグ関東を圧倒的な強さで制した今年のチームは、このプレミア参入戦でも強さを発揮した。

　今年のチームの強さにはトップチームの成績も関係しているのかもしれない。「トップチームが毎年優勝争いをするので僕たちも刺激を受けてきましたし、"僕たちがこの代でプレミアに上げないといけな"というプレッシャーもありました」と青山が話すようにプレッシャーもあったが、刺激を貰えていたことも事実。身長192cmの大型DF高井幸大やU-17日本代表のMF大関友翔など頼もしい後輩も育っている。

　「5年生からフロンターレに入ったんですけど、4年生の頃からホームの試合は毎試合観に行っていたぐらいフロンターレがずっと好きで、"いつか入りたい！"と思っていて、入れた時は凄く嬉しかったです。"ここで出来るんだ"って嬉しさでずっとやってきて、高卒でトップ昇格を目指してきたんですけど、そこは難しかったので、大学経由で上がった先輩もいるので、そこに繋げていけるように頑張っていきたいです」とクラブへの熱い想いを語った青山。プレミア昇格という置き土産を残し、8年間過ごしたチームをこれで卒業する。大好きなクラブに戻ってくることを誓い、青山は大学での戦いに旅立つ。

　(文・写真＝会田健司)