先制点後の青森山田MF松木玖生

 1月2日、第100回全国高校サッカー選手権の3回戦が行われ、駒沢陸上競技場での1試合目では、25年連続27回目出場の青森山田(青森)が6年ぶり2回目出場の阪南大高(大阪)と対戦。青森山田は3-1で阪南大高を下し4年連続で8強入りを決めた。

 青森山田のMF松木玖生はゲーム後、「阪南大高も凄くいいサッカーをしてきたんですけど、それ以上に自分たちは気合が入っていて、前半で早いうちに点数を取ることが出来たのが今回の勝因だと思います」とコメント。

 試合の立ち上がりについて松木は「相手の特徴は最初の15分で勝負を決めて、そこから段々と点数を決めるという風に自分たちが分析した結果、自分たちは前の試合で立ち上がりが悪かったので、"そこで圧倒的な差を見せつける"とチームで会話しながら良い時間帯に決めることが出来ました」と話した。

 松木が振り返ったように先制点が勝負の分かれ目になった。阪南大高は"矢印は前だ"を合言葉に試合の入りから相手を圧倒し、前半で勝負を決める事に大阪大会から取り組んできた。この全国大会の1.2回戦でもその通りにゲームを進め、インターハイとプレミアEAST王者の青森山田に対しても真っ向からぶつかっていった。だからこそ松木はこの試合の先制点の持つ意味を強調したのだ。

 その先制点は15分に右サイドハーフ藤森颯太(3年)のクロスに松木がニアサイドに飛び込んだことで生まれたオウンゴールだった。松木はオウンゴールだとわかっていたと思うが、自分で決めたゴール後のように歓喜した。それはやはりそれだけこの先制点が大事だったという事ではないだろうか。

 この試合のシュート数は阪南大高の9本に対し青森山田は8本。リードを許したチームが相手を押し込んでシュート数が多くなることはサッカーではよくある事だが、こと青森山田に関しては相手チームがシュート数で上回ること自体が珍しい。インターハイでも相手にシュートを1本も打たせない完全試合をしてきただけに、阪南大高の攻撃陣はそれだけ強烈だった。

 しかし、シュート8本で3点決める決定力と、1失点に抑えるところが終わってみれば"青森山田強し!"の印象を与える。その最少失点に抑えたDF陣に対して松木は「バックラインが率先して声を出しながら、ヘディングでもファーストDFがああいう風に勝ってくれると、おのずとチームの雰囲気も良くなっていきますし、"今日は"というより、常に新チーム始まってから成長してきているCBの(丸山)大和と(三輪)椋平がいるのでそこは頼もしいです」コメントした。

 そして、今大会での個人の目標を聞かれた松木は「個人としては一番チームに貢献する事です」と回答。さらに個人的に狙っている記録について聞かれると「狙ってみたいことはないです」と言い切り、「ただチームの優勝に貢献できればいいかなと思います」とあくまでもチームの優勝のためにプレーしていると強調した。

 過去2年選手権決勝で悔しい想いをしてきた松木の"今年こそ絶対に優勝する!"という強い決意が改めて伝わってくる発言だった。2戦6発のFW鈴木章斗擁する阪南大高でも止められなかった青森山田。インターハイと同じく準々決勝の相手は京都代表・東山に決まった。インターハイでは2失点した難敵だけに、次戦も松木のプレーに注目したい。

 (文・写真=会田健司)

▽第100回全国高校サッカー選手権
第100回全国高校サッカー選手権