1年生で昌平のトップ下を任されるMF長準喜

 1月3日、強豪36チームが集まりNEW BALANCE CUP 2022 IN TOKINOSUMIKA(通称・裏選手権)が開幕を迎えた。2年連続で選手権に出場していた昌平(埼玉)も今年は新チームでこの大会に参加。決勝トーナメントに勝ち進んだチームのトップ下を任されているのはまだ1年生のMF長準喜(おさ じゅんき)だ。

 長は小柄ながら、当たり負けしない強さがあり、柔らかさと強さを併せ持つドリブルが印象的なMFだ。杉戸ゼウシスFCから浦和レッズジュニアに入り「ジュニアユースに上がれるかはわからなかったけど自分の判断で」昌平の弟分に当たるFCラヴィーダに進んだ長はそのまま昌平に上がってきた。ラヴィーダ時代には全国大会にも出場している。

 「選手権(県予選)で負けてしまって、他のチームより早めに新チームになったので、すぐに馴染めて一体感もあります」と、新チームになったことで、すでにチームに慣れた様子の長。「昌平の肝となるトップ下をやらせてもらっているので」とチームの重要なポジションを任されている事で責任感も出てきているようだ。

 「サッカーとしてやる事は変わらないし、監督が求めている事も大きく変わらない」と長が言うように、長がすぐにチームに馴染めたのはやはり、ラヴィーダから昌平に上がってもやる事が一貫していることが大きい。そして指導者同士が選手の情報を共有している事もその要因だろう。

 長には2つ下に弟・璃喜(りゅうき)がいる。身長が小さいところは似ているが、力強い兄に比べると弟のプレースタイルは「細くてスルスル抜いていく感じ」と違う部分も。「技術的にはあっちの方が上」という弟も現在FCラヴィーダに所属し、先日の高円宮杯U-15では準優勝。決勝戦の前には「絶対負けるなよ!自信を持ってプレーすれば絶対出来る!」と弟に声を掛けたそうだが惜しくも敗戦。その決勝の相手はサガン鳥栖U-15だったこともあり、「自分たちも鳥栖に負けたので勝ってほしかった」と悔しそうに話した。

 家でも兄弟でサッカーの話をするという二人。「お互いの意見を言い合ってます。あいつは嫌がるんですけど、弟の試合の動画をみてアドバイスをしたりもしています」と日常からお互いに高め合っている。「休みの日でも一緒にサッカーをやって、対人も出来るので恵まれてると思います」と、そのサッカー漬けの環境が長にはプラスに働いているようだ。しかし「でも一対一では攻めも守りも絶対に負けません」と兄のプライドがあると付け加えることを忘れなかった。

 決勝で敗れた後「来年は頼むぞ!」と弟に声を掛けたという長は「自分も来年は全国に行って、日本一になって、お互い日本一」と兄弟で日本一を取る事を目標に決めた。今開催している選手権を観て「絶対この舞台に戻る」と、さらに日本一への気持ちは強くなっている。「二人でピッチに立ちたい」と長が3年になった時には弟も昌平に上がって来る予定だ。

 「夢は味方でも敵でもいいのでプロに入って一緒のピッチで戦いたい。そして二人で日の丸を背負いたいです」と目を輝かせた長。しかしここでも「でも絶対負けないです」と念を押す。兄としての優しさと威厳を持つ準喜と兄よりも技術が高いという弟の璃喜。長兄弟はこれからも日本一に向かって切磋琢磨しながら突き進んでいく。

 (文・写真=会田健司)

▽2021年度裏選手権
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