静岡学園U-16キャプテンMF野中大誠

 昨年末に行われたMIZUNO wintercup U-16ルーキーリーグ。新型コロナウイルスの影響で試合が開催出来なかった地域もあったため、MIZUNO CHAMPIONSHIPU-16ルーキーリーグの代替大会と行われたこの大会で見事に優勝を飾った静岡学園。その優勝を果たした静岡学園のキャプテンがMF野中大誠(のなか たいせい)だ。

 決勝戦となった尚志戦、野中はボランチとして守備で球際の強さをみせれば、セカンドボールを回収しそのまま攻め上がり、ワンツーを使いボックス内まで侵入するなど、まさにチームの中心と言える働きをみせ、チームの優勝に貢献した。

 この試合は0-0のままPK戦に突入し5-3で静岡学園が勝利したが、勝利の歓喜に沸く静岡学園の選手の中で、野中一人だけが歓喜の輪には加わらず、尚志の選手一人一人にに声を掛けていた。試合後にその場面について話を聞くと「結構嬉しかったし、本当は行きたかったんですけど、相手も強かったですし、自分のプレーにもあまり納得できなかったので」とその理由を話した。キャプテンとして相手のプレーを称賛したい思いもあったのだろう。

 野中に話を聞くととにかく"意識が高い"という印象が強い。優勝した後でも「ボールは上手く回っているように見えるんですけど、人が動いていないのでそこが課題です」と喜びよりも課題を口にする。

 自身のプレーに関しても「静学に来た理由が自分でゴールに向かうことだったり、ラストパスを狙える選手になることだったので、シュートのところだったり、あと一個のところで自分が決めていれば勝てたシーンが結構あった」と、観ている側からは活躍していたように見えても本人は全く納得していない。

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 「もっと自分で侵入していったり、もっと型にはまらないドリブルでアイデアを出していくプレーをしていかないとプロで活躍できないと思って静学を選びました」と、ジュビロ磐田U-15からユースに上がる事も出来る状況で、自分に足りないことを客観的に感じて進路も選択している。そこには"プロ選手になれても、プロで活躍できなければ意味がない"という強い気持ちが感じられる。その意識の高さは1年生チームのキャプテンがすでにトップチームのキャプテンにみえるほどだ。

 静岡学園に入学してから「ボールタッチとかドリブルで侵入していくところはかなり上がったなと思います」と手応えを口にするが、ここでも「今からもっと技術を高めて、相手に触られないぐらいの技術を身に付けたい」と付け加えた。

 目標をきけば「選手権で優勝するのが一番の目標です」とキッパリ。静学ほどの強豪であればこれからチーム内の激しい競争があると思うが、近い将来、MF野中大誠が静岡学園を引っ張っていく。そう思わせられる選手だ。

 (文・写真=会田健司)