MVPに輝き、チームメイトから祝福を受ける(写真=多田哲平)

 新時代の怪物とも言うべき活躍だった。

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 大津(熊本)のエース小林俊瑛が凄みを増している。

 191センチの長身に加え、足もとのシュートセンスも非凡。力強いポストワークを見せたかと思えば、柔らかいボールタッチや正確なミドルシュートも披露する。少し大げさに表現すれば、ポーランド代表FWのロベルト・レヴァンドフスキのような剛柔を兼ね備えた点取り屋である。

 U-17日本高校選抜の一員として参加した第4回 J-VILLAGE CUP U18でのパフォーマンスは圧巻だった。初戦の川崎フロンターレU-18(神奈川)戦で4得点を挙げると、続く清水エスパルスユース(静岡)戦でも、さらに3戦目のU-17日本代表との選抜チーム対決でも、ゴールを重ねた。

 そして履正社(大阪)との優勝をかけた順位決定戦では、1-0で迎えた試合終了間際に、ペナルティエリア外からの鋭いミドルシュートでダメ押しの追加点を奪い、チームの大会制覇に貢献した。

 履正社戦を終えて「最後はもうなんか、点を取らないと終われないなと思っていました」と明かしたが、その通りにゴールを奪ってしまうのだから恐れ入る。

 チームの優勝とともに小林自身は大会公式MVPを受賞。4試合すべてで得点し、計7ゴールという結果を見れば、誰もが納得だろう。表彰式ではチームメイトから「そりゃそうだろ」という声が漏れるほどだった。

 「正直、予選リーグ1試合目(川崎U-18戦)の4点は(自分でも)ビックリしたんですけど、今までやってきたオフの動きだったり、ヘディングのところができたから4点取れたと思っています。今までの積み重ねが出たかなと思います」

 そう言ってMVP受賞に笑顔を見せた小林にとって、J-VILLAGE CUP U18は大きな手応えを感じた大会だった。

 「強豪チームが集まる大会のなかで得点が取れたのは、やっぱり自信にもつながったと思いますし、そのなかでいろんな収穫もありました」

 その経験を大津に戻って還元するつもりだ。大津では新キャプテンを務めている。

「一番経験があるなかで、自分が引っ張っていかないといけないかなと思っています。まとめるのは難しいですけど、プレミアリーグ(WEST)の開幕戦は絶対に勝たなければないと思うので、そこに向けてしっかりやっていきたいです」

 得点力にますます磨きをかけるストライカーが新年度の高校サッカー界を席巻するかもしれない。

(文・写真=多田哲平)

小林俊瑛プロフィール】
所属チーム/大津
学年/2年
身長/191cm
体重/72kg
ポジション/FW
生年月日/2004年6月1日
中学時所属チーム/鵠沼中
代表歴/U-16日本代表候補.U-17日本高校選抜.U-17日本代表候補.U-19日本代表候補

▽第4回 J-VILLAGE CUP U18
第4回 J-VILLAGE CUP U18