U-17日本高校選抜の中盤を支えた徳永涼(写真=多田哲平)

 戦況に応じて振る舞い、また絶妙なポジショニングでボールを引き出すと、糸を引くようなパスで味方を自在に操っていく。

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 2年生時から前橋育英(群馬)のエースナンバー14番を背負うボランチ徳永涼は、U-17日本高校選抜の一員として参加した第4回 J-VILLAGE CUP U18でもその卓越したセンスを遺憾なく発揮し、チームの優勝に大きく貢献した。

 とりわけ脱帽させられたのは悪い流れを変える戦術眼だ。

 今大会、バランサーとしての働きを意識していたという徳永は、フル出場した予選3試合目のU-17日本代表戦で、押し込まれ気味だった戦況を受けて、プレスをかけるのかブロックを築くのかのタイミングを巧みに変え、チームに安定感をもたらした。また優勝を懸けた履正社(大阪)との順位決定戦では前半34分からピッチに立つと、相手のハイプレスに苦しむチームに落ち着きを与え、攻撃のリズムを作り出した。

 「こういう勝たないといけない試合をすることで、練習試合とは違って、ゲームの運び方だったりを磨ける。U-17日本代表とやった時は、なんで上手くいかないかというところを考えて、改善策を見出せたので、そういうところで学びがすごくある大会でした」

 U-17日本高校選抜を率いた蒲原晶昭監督からの信頼は絶大。大会後、「ゲームの中で完全にリーダーシップを取ってくれるので、攻撃・守備にしても監督がピッチにいるような感覚で、良くまとめてくれたなと思います」という称賛の言葉を指揮官はメディアに明かしていた。

 もっとも徳永の、チームをコントロールする技術や戦術眼は急に芽生えたものではない。

 「去年から自分がリーダーシップをとって3年生を引っ張るぞくらいの気持ちでやっていたので、その日々の積み重ねが自分の良さになっていったのかなと思います」

 「ガンッと伸びるのではなくて、地道にやっていくタイプ」だと自己分析する徳永は、だからこそ決勝戦で勝利したあとでも、監督からの高評価を受けたと知っても「でも、ピンチにつながるミスパスが1本あったので、それは減らさないといけないし、バランスを取りながらも攻撃に関わらないといけない。今日の試合は課題が残りました」と反省を忘れない。

 そうした向上心を常に持ち続けているからこそ、毎試合で学びを得られるのだろう。

 今後もそのセンスに磨きがかかっていくはずだ。進化し続けるボランチのさらなる成長に期待したい。

(文・写真=多田哲平)

徳永涼プロフィール】
所属チーム/前橋育英
学年/2年
身長/174cm
体重/67kg
ポジション/MF
生年月日/2004年6月26日
中学時所属チーム/柏レイソルU-15
代表歴/U-17日本高校選抜

▽第4回 J-VILLAGE CUP U18
第4回 J-VILLAGE CUP U18