サニックス杯決勝で1G1Aの活躍をみせたMF楢原慶輝(サガン鳥栖U-18)
トップチームでの経験が確実に彼のレベルを一つ上げた。そう思わせるサニックス杯決勝だった。
3月20日、サニックス杯ユースサッカー大会2022の決勝が行われ、サガン鳥栖U-18(佐賀)が予選リーグ4戦4勝のサンフレッチェ広島F.Cユース(広島)を6-1で退け優勝を果たした。この試合でゴールラッシュの口火を切った先制点をアシストしたのが鳥栖U-18のMF楢原慶輝(ならはら よしき)だ。
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1分、左サイド深い位置でボールを受けた楢原はボールをキープしてから右足でピンポイントクロスを送る。これにファーサイドでFW赤崎陵治郎がヘディングで合わせゴールネットを揺らす。その後も2点目の起点となった楢原は33分、福井とのワンツーでボックス内右に侵入した赤崎のマイナスの折り返しに右足を合わせゴールも記録した。
スピード溢れるプレーで鳥栖U-18の攻撃を牽引した楢原は「ゲームの入りで良いアシストが出来て、追加点も奪っていく事が出来て、前半で勝負を決めることが出来ました。後半に入っても勢いを止めず追加点を取っていけたので、試合を通して良いゲーム運びが出来た」と満足そうに試合を振り返った。
「1stが動き出して、2ndが空いたところに飛び出す」そう楢原が表現したのは、前線の動き出しについてだ。鳥栖U-18の攻撃が面白いようにハマる。相手の守備陣形を動かしながら、楢原を筆頭に空いたところを見逃さずに次々と選手が飛び出していった。そしてそこが見えているパスの出し手とパスを出せる技術。「クロスの質や中の入り方も練習や試合で言われている」とクロスやクロスに対しての中への入り方も精度が抜群だった。
決勝で攻撃陣が爆発したことに関して楢原は「決勝戦と言うよりかは、目の前の対サンフレッチェ広島という意識をみんな強く持っていて、そこに集中したことで伸び伸びやれたのかなと思います」とコメント。前線からのプレスで守備の面でも大きな貢献をした楢原は「自分がシャドーに入る事で前から追えるので、しっかり後ろもついてきてくれていい守備が出来たと思います」と話し、その前線からの守備でも「全部行くのではなく、サイドに出させてからハメられた」と狙いを持った守備だったと明かした。
トップチームに2種登録されている左からMF福井太智、MF楢原慶輝、MF坂井駿也(サガン鳥栖U-18)
2月23日のルヴァンカップ札幌戦では先発出場を果たした楢原。「"強度もスピードもこんなに違うのか!"と本当に自分でもビックリするほどトップはレベルが違くて、正直ショックを受けた」と今年のトップチームのキャンプに参加した際にはカルチャーショックとも言える程の衝撃を受けていた。スピードを武器とする楢原だが、「予測の速さとボールに対する強度が全然違う」と単純なスピードではなく、プロの選手の判断の速さやプレースピードの違いを目の当たりにしたのだ。
それでも長い期間トップチームに帯同した事で「やっていくうちに慣れてきて遜色なく戦えるようになると思う」と手応えを掴んで帰ってきた楢原。「トップで感じたことや体感したことをチームに持ち帰ってきました。でも持ち帰るだじゃ意味が無い。本当に練習からみんなと共有しないと意味がないと思っているので、実際にユースでやっている人と、トップでやっている人の感覚を擦り合わせています」と、その感覚を自分だけのものにするのではなく、U-18のチームメイトたちにも落とし込む。
MF福井太智やMF坂井駿也とトップチームに帯同した選手が、自チームにその感覚を持ち帰る。言葉にするのは簡単だが、実際に体感してみないとわからないのが強度やプレースピードだ。「最初はそこが合わなかったりしたんですが、本当に意識をより高いところに持って行くためにみんなで話し合ってきたので、それが徐々に合ってきたのかなと思います」と擦り合わせる部分ではやはり苦労をしながらも、諦めずにやってきた事でチーム全体の意識を上げる事に成功した。
高校最後のシーズンで最高のスタートを切った楢原は「チームとしては日本一を目指しているので、プレミアリーグで目の前の相手に負けないように、一戦必勝で戦っていきたい」とプレミア初優勝を目指す。個人としては「トップ昇格を勝ち取って、小学校からお世話になっているサガン鳥栖に結果で示して恩返しをしたい」とトップ昇格を目指す。トップチームやプレミアで結果を残すことが出来るか。楢原の勝負の1年が始まった。
(文・写真=会田健司)
【楢原慶輝プロフィール】
所属チーム/サガン鳥栖U-18
学年/2年
身長/168cm
体重/61kg
生年月日/2004年4月7日
ポジション/MF
中学時所属チーム/サガン鳥栖U-15
代表歴/U-17日本代表候補.U-16日本代表.U-15日本代表
▽サニックス杯ユースサッカー大会2022
サニックス杯ユースサッカー大会2022