国士舘は2次トーナメント突破に挑む(写真=多田哲平)

 もっとも2度のリードを追いついての逆転勝利に、その粘り強さがうかがえる。

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 その粘り強さは、4月の関東高校サッカー大会東京予選でも垣間見せていた。大東大一との1回戦を1点差(1-0)で制すと、堀越との2回戦は1-1の状況から突き放し、結局4-1で勝利。実践学園との準々決勝では、80分を終えてもスコアレスの拮抗した展開を延長前半10分のFW原田悠史のゴールで打破した。準決勝で駒大高に0-2で敗れて惜しくも本大会出場を逃したが、大会を通じて披露した戦いぶりは、実にタフだった。

 東海大菅生戦の逆転勝利は、令和4年関東高校サッカー大会東京予選関東大会予選からの積み上げが活きたものでもあるだろう。本田TAは「いやあ、私が反省していないからね」と冗談を挟みつつも、「まあ確かに良くなっていると思います。だんだんしぶとくなってきて、ビハインドをひっくり返せるようになった。それは唯一の収穫ですね」と、少なからずチームの成長を実感している。

 一方で当然満足はしない。「ただ、もうちょっとつなげるようにしたいんだけどね」と課題を口にする。

 2次トーナメントの初戦は都立深川、2回戦は都立東大和南と修徳のいずれかとの対戦。さらにそこを勝ち抜くと準々決勝で関東一と当たる。本田TAは「ここからだよね。だいぶ昔にもこういうものを乗り越えてきたけど、よくやってきたなと。本当大変だったなと思うよ(笑)」と自身の過去の苦労を振り返りつつも、その目はいまだ色褪せない情熱に溢れている。

 TAに就任して3年目。全国への切符を掴めるか――。75歳の名将は「できないながらも彼らを勝たせてあげたい。人生変えてあげたいね」と躍進に意欲を見せた。

(文・写真=多田哲平)

▽令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)東京予選
令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)東京予選