磐田東を率いる山田智章監督(写真=多田哲平)

 ただし防戦一方だったわけではない。隙を見つければキープ力が光る鈴木王太と谷野暁希に素早くつなぎ、相手の焦りを誘うと、ファウルで得たセットプレーからゴールに迫ってもいた。

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 「とにかく僕らは僕らのサッカーをしようと。ハーフタイムに言ったのは、『力関係では圧倒的に向こうのほうが上だけど、前半0-0で終えて相手は絶対にストレスが溜まっている。そこでこっちも落ち着いて対応できれば、どこかでチャンスがある』と、そういう話をしていた。

 だから相手もマイボールになりかけた時にノッキングしたりとか、連係が上手くいかなかったりする場面があった。ああいうところの隙を突くしかない」

 攻め込まれながらも反撃を狙ってファイティングポーズを取り続けたことも、相手のフラストレーションを生むのにつながったはずだ。

 そしてスコアレスで80分を終えると、迎えたPK戦では、GK1岡村虹輝(2年)が3本目と4本目を連続セーブ。5人目のキッカーを待たずしてトータル3-1で制した。

 「PK戦は昨日(準々決勝)もやっていたので。『くじ引きみたいなもので運だよ。だから、そこはしょうがない』と。『だけど勝とうね』と。でも、あんなにGKが当たるとは思わなかった」と指揮官は笑った。

 決勝では、プリンスリーグ東海で首位を走る藤枝明誠を相手にどんな戦いを見せるのか。17年ぶりの全国の舞台へ、あと1勝だ。

 「何も変えません。自分たちがやっているサッカーを貫くだけ。ただ攻守の切り替えとサポートの部分は課題なので、そこは確認します。あとは楽しんでやります。子どもらが自分たちで舞台を整えたので、楽しんでやってくれれば。結果はあとでついてくるので」

 山田監督はそう意気込んだ。

(文・写真=多田哲平)

▽令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)静岡予選
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