縦への突破からPKを獲得する履正社FW古田和之介(写真=会田健司)

 「特別スピードやテクニックがある選手じゃないので」という古田だが、「緩急だったり、相手のタイミングを外したり、そういうところを工夫している」と圧倒的なスピードを持っていなくても相手を抜き切ることが出来る。

 そして「ゴール前だったら相手が足を出してくるのを待つんじゃなくて、自分から先手先手を取って仕掛ける」という強い気持ちで相手より一歩先に前に出る。

 「世界のストライカーをみているとボックス内の迫力は欠かせない。ストライカーとしてボックス内で仕事がしたいので、どんどんボックス内に入っていってシュートまで、ゴールに直結するプレーを意識している」と、とにかくゴールを目指すのが古田のプレースタイルだ。

 そしてこれは履正社のストライカーとして受け継がれてきたもの。

 「林大地(シント=トロイデンVV)選手だったり、廣野大河(大阪体育大)君だったり、ああいうプレーをみたらチームも盛り上がるし、ああいう選手は重要だなと近くでみてきて身をもって体感しました」と古田も"先輩ビースト"たちの泥臭くてもゴールへ向かう姿勢をみてきたのだ。

 さらに「プレミアリーグでやっているとCBのレベルも高いですし、色々なCBがいていい経験を積ませてもらっている」とプレミアで日々レベルの高いDFと勝負している事も大きい。

 しかし「PKに関してはキッカーを任されて全部決めているのでそこは自信を持ってやっているんですが、まだ流れの中で得点がないのが自分の中の課題」と本人も言うように流れの中でゴールを決め切る事が出来ていない事が課題だ。

 平野直樹監督も「チームの精神的な支柱にもなっていて、彼の前からのチェイシングだったり、ボールの回収やPKも自信を持ってやってくれて、攻撃のスイッチも入れてくれる。後ろは楽になるし、頼もしい欠かせない選手になってきました。試合でもトレーニングでもリーダーシップをとってやってくれているので楽しみな選手です」と信頼を口にする一方、「あとはゴール前で力んでしまうところがあるので、流れの中から点を量産できるようになれば。シュートまでは行けるので、あとはボールを枠に飛ばす技術をしっかりつけてくれれば」と注文を付けた。

14番MF川端元の逆転ゴール後(写真=会田健司)

 「もっとゴール前で仕事がしたい。怖いプレーが少ないと平野先生からも言われていて、やっぱりストライカーである以上点を取るのが仕事で、その回数を増やして質も上げて行けばいい選手になれる。もっとゴールに貪欲に、泥臭くてもいいから何としてでもゴールを決める意識でプレーしていきたい」と流れの中からのゴールを渇望する古田。

 3人のキャプテンの中で試合に出ているのは自分だけという状況で、古田にはキャプテンとしての仕事も。

 「言い方とかもたまに強くなったり熱くなってしまうところがあって」と器用な性格とは言えないが、「伝え方は色々あると周りからも言われていて今日は前向きな声を出せたと思います」とプレーだけではなく声でもチームを引っ張っていくつもりだ。

 「一発勝負は初めてなので硬くなったりするところもあったんですが、みんなも段々慣れてきて自分たちのやりたいサッカーが出来てきているので、あと一つ勝ってまずは全国を決めて、そこで満足することなく大阪一を獲って全国に乗り込みたいと思います」

 履正社はあす全国の切符をかけ、準決勝で近大附と激突。この泥臭いストライカーが履正社を全国に導く。

(文・写真=会田健司)

▽令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)大阪予選
令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)大阪予選