決勝ゴールを挙げたDF懸樋開(写真=多田哲平)

 市立船橋を全国出場へ導いたのは、DF懸樋開(3年)の決勝ゴールだった。

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 令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)千葉予選、日体大との決勝は2-2のまま延長後半にもつれ込む大接戦に。

 すると92分のFK、MF北川礁(3年)から放たれたボールを相手がクリアミスをすると、懸樋はこれを逃さず、頭から飛び込み、ゴールネットを揺らしてみせた。ゴールが決まった瞬間、殊勲者は応援席やベンチとは逆方向の誰もいないスタンドに向けて駆け出していった。

 「ゴールは気持ちと、あと運でしたね。自分は本来、相手をブロックをするほうで、競りにいって点を決める役目じゃなかったんですけど、たまたま入り込んだところにボールが来ました。

 決まった瞬間は嬉しすぎて、向こう側にいっちゃったんです。誰もいないと思って引き返しました(笑)。興奮しすぎちゃいました」

 チームを3大会ぶり29回目の全国出場に導く値千金弾だった。

 また懸樋は得点以外でも貢献した。個性派揃いの日体大柏の攻撃陣にセットプレー以外では決定的な仕事をさせず、流れのなかからの失点を防ぎ切ったのだ。

 身長は168センチと、決して大きくはない。それでも「予測と準備を大事にしている」というCBは、「前に潰しに行くのも、後ろに下がるのも相手より早く。あとは一緒にCBでコンビを組んでいる藤田(大登/3年)とか周りの味方を使いながら、一緒にサポートし合って守っていくこと」を徹底している。

 日体大柏戦も「自分が勝負はせず、ボランチに競らせるとか味方に声をかけて、自分はセカンドを狙うことを意識しました」という。

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▽令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)千葉予選
令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)千葉予選