日本代表FW前田大然(セルティックFC)の出身でもある川上FCから興國に入った西川は、空中戦の強さ、スピード、足元の技術と現代のCBに求められる能力を兼備。さらに相手DFラインの裏へ落とすロングフィードの精度は一級品だ。内野智章監督が「(年代別)代表に入っていないのが不思議な選手」と口にするのも頷ける能力の高さだ。

FC東京内定の昌平MF荒井悠汰と西川(写真=会田健司)

 宇田の代わりにキャプテンマークを巻いて今大会に挑んだ西川は「大会前にキャプテンがケガをしてしまったので、自分がキャプテンとしてチームをまとめようとやっていましたが、うまくまとめられず、やっぱり(宇田)光史朗は凄いなと思いました」と宇田の存在の大きさと、チームをまとめる難しさを痛感。

 守備の面でも「失点しているので良くはなかったです。いい守備は失点しないこと、シュートを打たせないことだと思っているので、まだまだ足りないです」と満足できないと話した。

 大学生を相手にしても余裕のあるプレーをみせてきた西川だが「本当にうまかったですね。日本の高校のトップレベルの選手たちとやれて、自分の足りない部分もみつかったし、刺激ももらえたのでこれから追いつけるように頑張りたいです」と、強烈な個をもつ選手たちと対峙したことでさらなる成長を誓った。

U-19日本代表候補の神村学園FW福田師王とマッチアップする常藤(写真=会田健司)

 広島のFCバイエルンツネイシから興國にやってきた常藤は中学3年生まではFWでプレー。高校に入ってからSBを経てCBにコンバートされ、今年は不動のレギュラーとして西川とCBのコンビを組む。西川と同じく高さもスピードも兼ね揃える常藤の特徴は"CBらしくないボールの持ち方"。DFとは思えない落ち着きでビルドアップに加わり、セットプレー時には元FWとしての得点感覚も発揮する。

 その常藤は静岡学園との一戦を終え「率直に楽しかったです」とレベルの高い相手とのバトルを楽しんだ様子。相手のMF高橋に対しては「両足で持てるのとシュートも常に狙っているので対応しにくかった」と話し、MF寺裏剣に対しても「寺裏選手もうまくて難しかった」と話したが、「最後まで食いつかずに対応できたと思います」と粘り強く対応し、流れの中からは失点も抑えた。

 そのほかの試合でも高校年代を代表する選手たちと対戦したが「みんな有名な選手ばかりでしたが、僕は知られていないので"やってやろう!"という強い気持ちを持ってプレーしていました」と、食い付かない冷静さを保ちながら熱い気持ちで戦った。

興國イレブン(写真=会田健司)

 寮では同部屋の西川について常藤は「普段は面白いやつだけど、試合になったらリーダーシップもあって頼りになる」。さらに「(西川)楓人がいるから思い切って前にチャレンジできる」と相棒を信頼しているからこそ強気のプレーができると話す。

 今大会では守備は安定していたが、攻撃では崩しの仕上げの部分で選手同士のイメージにズレが出ることが多かった。これからプリンスリーグも再開し、選手権予選も始まる。

 「プリンス後期は全部勝ってプレミア昇格。選手権の大阪予選は難しいですけど、この代だったら突破できると思う」と常藤。今大会で出た課題をクリアできるかがカギを握るだろう。

 (文・写真=会田健司)

▽ユースワールドチャレンジ・プレ大会 2022
ユースワールドチャレンジ・プレ大会 2022