仲間とともに掴んだ日本一だ(写真=矢島公彦)

 そんな今井にとって、この選手権は様々な想いが込み上げてきた大会だった。新型コロナウイルスの蔓延によって活動が制限され、中学2年次の2018年には西日本豪雨で大きな被害を受けた。

【マッチレポート】岡山学芸館 vs 東山

 「コロナ禍でサッカーができなかった時も、雨で被災した時も、(岡本)温叶とかチームメイトと協力して乗り越えてきた。サッカーができる環境が当たり前じゃないんだなと知りました。そのなかでこの決勝で観客がいっぱいいるなかで、幸せを常に感じながらやっていました」

 原動力となったのも仲間の声援だった。

 「プレーしていて辛い時や流れが悪い時は、本気で出してくれているスタンドを見た。本当に力になりました。この大会に出られない3年生と会って話すと、声が枯れていて、それだけでもウルッと来た。それくらい自分たちを応援してくれていたんだなと。今は感謝の気持ちが一番強いです」

 困難をともに乗り越え、励まし合い、そして日本一をともに掴んだ仲間は、今井にとって得点王の称号よりも特別なものになった。

(文=多田哲平、写真=矢島公彦)

▽第101回全国高校サッカー選手権
第101回全国高校サッカー選手権