都立東久留米総合を率いる加藤悠監督(写真=多田哲平)
それでも今季のチームには確かな手応えがある。「この代はコロナの影響を受けず、ちゃんとオフシーズンに練習ができた」(加藤監督)のだ。
過去2年はコロナ禍の影響を受けてシーズン前から十分に準備をすることができなかった。都外への遠征は禁止され、週に4日しか練習が許されず、しかも活動できるのはAチーム以下のみという苦しい時期を長く過ごした。
私立校と比べて選手獲得に制限がある公立校にとっては、準備期間が限られるのは致命的である。「我々は都立高校なのでスタートの段階で選手の質で勝負するのではない。いかにトレーニングで鍛えていくかが大事」だと加藤監督は言う。
万全な準備を仕込んだ今年、「3月中には良い組み合わせが見つけられたし、新チーム立ち上げから思う存分トレーニングをやれた」と加藤監督が自信を見せるチームに期待が膨らむ。
ここまで重点的に積み上げてきたのは「相手を見てプレーすること」。試合のなかで選手個々が相手の戦術を読み、それに応じて何が必要なのかを考える。その判断力を養ってきた。
カウンターが鋭い関東一に対しても、サイドアタック主体で攻めて最後は確実にクロスで終わらせるように徹底した。相手が反撃に出るまでに時間がかかるからだ。また立ち位置で相手を惑わせられるように3-4-2-1のシステムにも工夫を施した。フロッグではなく論理的に試合を組み立て掴んだ勝利だったのである。
東久留米総合は5月28日の2次トーナメント1回戦で都立国分寺と対戦する。
(文・写真=多田哲平)
▽令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)東京予選
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