その活躍を見て火が付いたのが、名和田だ。「めちゃくちゃ悔しい」と話し、短い言葉ながらも危機感を感じさせる様子があった。同郷のライバルが躍動する姿になんとも思わないわけがない。“次は俺”と信じ、ラウンド16のスペイン戦の前日も「ここまで悔しい思いしかしていない。ここで結果を残さないと、もうこの大会で自分にチャンスが来ることはないと思っている」と、強烈な覚悟と責任感を漂わせていた。

 そして、迎えたスペイン戦。名和田は2試合ぶりに先発し、高岡は攻撃の切り札としてベンチから戦況を見守った。

 このスペイン戦は中2日で続く連戦の4試合目。セネガルとの第3戦が終わった翌日18日にバンドンからジャカルタにバスで2時間をかけて移動し、試合前日の19日に決戦の地・スラカルタへ入った。しかも、午後3時過ぎに空港に着き、そのまま練習場へ直行。荷物は別部隊がバンドンからスラカルタに陸路で運んでいたとはいえ、コンディションを整えるには非常に難しい状況だった。一方のスペインは3試合とも同じ会場で戦っており、この日本戦もスラカルタでの試合。中3日で挑めるアドバンテージも含め、明らかに日本が不利だった。

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