前半途中から強い風がピッチを舞い始めた。後半の東海大甲府は風下に立たされ、守備はもとよりビルディングアップには手を焼いた。ロビングのボールは風にあおられて使えず、指揮官は意図なく蹴り上げるプレーを自重させ、短いパスを主体に足元でボールを持つことを求めた。

 しかし日本航空と同じく、ほとんど決定機を築けないまま後半の40分を終了。延長戦へ突入する。

 その前半7分、CB秋山愛翔(3年)が右FKのボールをニアサイドからヘッドでねじ込み決勝点。後半の追加タイムにはFW小尾峻真(3年)の突破からPKを獲得し、これをCB千野輝羅(3年)がきっちり突き刺して決着をつけた。

 秋山はチームでは数少ない181センチの長身。決勝ゴールは練習でも試したことのない形だそうだが、「あそこにボールが来ると信じて飛び込みました。高さは持ち味だし、会心の点だったのでものすごくうれしい」と喜びに浸った。「リードした後は、もう守り切ることだけしか考えなかった。今日はいつもより体が軽かった」と言って笑った。

【次のページ】 名門復活へ気合のイレブン 東海大甲府、決勝も制し第1代表を狙う(4)

▽令和6年度関東高校サッカー大会山梨予選
令和6年度関東高校サッカー大会山梨予選