インターハイ初出場を決めスタンドに挨拶する興國の選手たち
興國が令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)大阪予選で優勝を飾り、インターハイでは初の全国大会出場を決めた。
セルティックで活躍する古橋亨梧など、数々のプロ選手を輩出し、選手権では全国大会にも出場するなど、興國を大阪の強豪に押し上げた内野智章前監督からバトンを託された六車拓也監督が、昨年のインターハイ予選後に監督に就任しちょうど一年で興國の歴史に新たな一ページを刻んだ。
「僕自身、もちろん選手にアプローチしてプレーを良くしようとしてきましたが、僕一人の力ではとても無理で、学校の担任の先生の方々だったり、保護者の方々だったり、彼らを取り巻く方々が本当に熱心にサポートしてくれた。学校や保護者のサポートがあってこそです」
六車卓也監督
全国出場を決めた六車監督はサッカー部を取り巻く環境に感謝の言葉を並べた。そして「選手たちが僕の言うことをよく聞いてくれる。もちろんそれでも良くはなるんですけど、最大値となった時には自分で考えないといけないし、自分がどうなりたいかの逆算で日常を過ごしてもらうのが一番」と、就任当初から大事にしたいと話していた、主体性や目標から逆算するということの大切さが選手たちに浸透したとも話した。
250人を超える大所帯の中で、トップチームで試合に出れる選手は一握り。それでもその場所を目指し、日々のトレーニングに励む選手たち。「本当にフラットなんですけど、僕が見ていても、3年生は特別だと思う。練習でもギラギラしているし、最後だからという彼らの勢いやモチベーションを感じる」。だからこそフラットな目で彼らの一挙手一投足に目を光らせ、目をギラギラさせてプレーする選手にはチャンスを与える。その六車監督の一貫した姿勢が選手たちの競争意識を煽り、成長速度を加速させる。
興國イレブン
「緊張感のある舞台で成長できるというのは間違いなくあると思います」と全国の舞台を経験し更に成長して欲しいと願う一方、「全国大会を目指すのは大事なんですが、一番大事なのは毎試合自分たちが成長すること。トレーニングが全てなので、そこで頑張っている選手にしっかりチャンスを与える。そこに腹を括っていたので、勝ち負けのところは僕らが何とかすればいい。それに選手が応えてくれた。だから相手のプランに合わせるというのは1試合もなかった。難しいゲームが多かったですが、その時にチャンスを与えられた選手がしっかり力を出してくれた」とそこだけにフォーカスしないことも大切なんだと話す指揮官。実際に今大会では約30人が試合に絡んだ。
「連れて行った選手は全員出したい。もちろん勝つことは大事なんですが、両方を追い求めて、行った選手にちゃんと経験させたい」
選手たちの成長ファースト。全国に行くだけではなく、行った全員がしっかり経験値を積むことが大切。興國はブレない六車イズムで福島の地に向かう。
(文・写真=会田健司)
▽令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)大阪予選
令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)大阪予選